公開日:2022-11-14
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肥満、妊娠糖尿病、遺伝的素因などで糖尿病リスクが高い女性でも、健康的な生活習慣を順守すれば、2型糖尿病の発症リスクを下げられるようだ。健康的な生活習慣とは、健康的な食生活、禁煙、控えめな飲酒、定期的な運動、そして太り過ぎを避けることである。
シンガポール国立大学などの研究チームは、5つのカギとなる生活習慣(健康体重の維持、高品質な食事、定期的な身体活動、控えめな飲酒、タバコを吸わない)をすべて実行する女性は、ひとつも実行しない女性に比べて、2型糖尿病を発症するリスクが90%以上低いことを発見した。さらに、太っていても他の4つが実行されていればリスクは半減し、また遺伝的に糖尿病リスクが高くても、4つ以上実行していればリスクは大幅に下がることもわかったという。
健康的な生活習慣が、2型糖尿病のリスクを下げることは広く知られている。だが、これまで、妊娠糖尿病や肥満、あるいは遺伝的なリスクによって2型糖尿病の発症リスクが高い女性については、かならずしも明らかでなかった。 |
研究チームは、知識のギャップを埋めるために、5つ変更可能なリスク因子(体重、食生活、身体活動、飲酒、喫煙。どれも自分の意志で変更できる)が最適(つまり健康的な生活習慣)であることが、リスクの高い女性の2型糖尿病の発症に影響を及ぼすか否かを検討することにした。
今回研究チームは、米国の代表的な長期大規模疫学研究のひとつとして知られる看護師健康研究IIから妊娠糖尿病の既往歴のある4,275名の女性について、定期的に体重と生活習慣、そして糖尿病の発症について28年以上にわたって追跡調査したデータを解析した。
さらに研究チームは、肥満や遺伝的に2型糖尿病のリスクの高い女性についても同様に検討した。
追跡調査期間中に924名が2型糖尿病と診断された。
糖尿病の発症に影響を及ぼすその他のリスク因子の影響を排除して統計処理を行った結果、研究チームは、5つすべての変更可能なリスク因子が最適レベルであった女性は、ひとつも最適でなかった女性に比べて、2型糖尿病の発症リスクが90%以上低いことを発見した。 最適なリスク因子の数が増えるにしたがって、2型糖尿病の発症リスクが次第に低下することも明らかになった。たとえば、女性が1つ、2つ、3つ、4つ、および5つの因子について最適である場合、2型糖尿病の発症リスクは、それぞれ6%、39%、68%、85%、および92%低かった。 本研究は、観察的な研究なので、5つの因子と糖尿病リスクの因果関係については不明であり、また本人の自己申告によるデータが多数あるために、それが結果に影響している可能性もある。さらに、参加者の大部分が白人の医療専門職(ほとんどが看護師)であるため、他の人種、民族、社会経済集団には当てはまらないかもしれない。 |
とはいえ、定期的に繰り返し調査を行った大規模疫学研究からのデータを細心の注意を払って処理しているので、誤差や過誤は最小に抑えられていると考えられる。
したがって、「本研究は、高リスク集団における2型糖尿病の予防のための健康な生活習慣の奨励が公衆衛生上きわめて重要であることを明らかにするものだ」と研究チームは結論付けている。
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