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公開日:2025-11-26
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セリアック病や小麦アレルギーと診断されていないのに、小麦やグルテンを食べるといつもおなかの不調やだるさ、頭痛などを感じる人が、世界で少なくとも10人に1人の割合でいることが、英国シェフィールド大学の系統的レビューとメタ分析で明らかになった。
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これは「非セリアック性グルテン/小麦過敏症(NCGWS)」と呼ばれる症状で、女性に多く、過敏性腸症候群、不安、うつ病と関連しているとみられる。
研究者らは、2014年から2024年に発表された25件の先行研究(16か国・49,476人のデータ)をまとめて解析した。その結果、自分で「グルテンや小麦を食べると症状がでる」と感じている人が全体の10.3%に及ぶことが明らかになった。ただし国によってばらつきが大きく、チリでは0.7%に過ぎなかったのに対し、イギリスでは23%、サウジアラビアでは36%にみられたという。 |
NCGWSの人が訴える症状で多かったのは、膨満感(71%)、おなかの不快感(46%)、腹痛(36%)、疲労感(32%)だった。このほか、下痢や便秘、頭痛、関節の痛みなどを挙げる人もいた。これらの症状は、小麦やグルテンを控えると軽くなり、再び食べると再発することが多かった。
また、自己申告のNCGWSは女性に特に多くみられ、過敏性腸症候群(IBS)、不安、うつ症状がある人に多い傾向も見られた。報告者のうち約4割が、医師の正式な診断や助言がないまま、自分の判断でグルテンフリー食を実践していたという。
| 現在のところ、NCGWSには血液検査などで確認できる特有のマーカーがないため、「小麦を食べるとつらい症状が出る」と訴える患者のうち、セリアック病や小麦アレルギーを除外することによって診断されている。そのため、正確な有病率や臨床的特徴についてはほとんどわかっていない。
研究者らは、本研究にいくつかの限界があることは認めている。どの研究も「本人の自己申告」に頼っているため、実際の症状とのずれがある可能性がある。また研究ごとにNCGWSの定義や質問の仕方が異なるため、有病率の国ごとの違いが、実際の有病率の差なのか、それとも診断基準や交絡因子のばらつきも反映しているのかははっきりしない。 それでも著者らは、「自己申告ベースとはいえ、NCGWSは世界の約1割に影響を及ぼしている症状であり、女性や心理的ストレス、過敏性腸症候群と強い関連性があるようです」と結論付けている。 |
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そして、NCGWSは腸と脳が互いに影響し合う「腸–脳相関」の枠組みの中で考えるべきであり、単にグルテンだけを敵視するのではなく、個々の症状や食習慣に合わせた診断基準とケアの方法を整えていく必要があると提案している。
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