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公開日:2024-01-22

プラントベースの食生活がアルツハイマー病のリスクを下げる

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アルツハイマー病のリスクは、食生活に注意することで下げることができるようだ、という研究結果が『アルツハイマー病雑誌』に発表された。

研究チームは、変更可能なリスクとしての食事の役割を詳細に検討した結果、西洋型の食生活を、よりプラントベースの、例えば地中海型ダイエットや日本、中国、インドなどの伝統的食習慣に近づけることによって、アルツハイマー病のリスクを下げられるとの結論に至ったという。

近年、西洋型の食生活に移行している多くの国々で、アルツハイマー病の発症率が高まっている。研究者らは、認知症のリスクを高める因子として、飽和脂肪、ハンバーガーやバーベキューなどの赤肉(牛肉、豚肉)、ホットドックなどの加工肉、砂糖や精製穀物を多く含む超加工食品といった西洋型の食事に特徴的な食品の大量消費を指摘している。

本研究では、なぜある種の食品がアルツハイマー病のリスクを高めるのかについての洞察もなされている。例えば、肉類は認知症のリスクを最も高めるが、それは肉類の摂取が体内炎症、インスリン抵抗性、酸化ストレス、飽和脂肪、終末糖化産物、トリメチルアミン-N-オキシドといったいくつものリスク因子を高める結果である。

研究チームはまた、アルツハイマー病のリスクを低下させる食品についての概要も示している。それは、緑の葉物野菜を含む色とりどりの果実と野菜、豆類、ナッツ、オメガ3系脂肪酸、そして全粒穀物などである。

超加工食品は、肥満や糖尿病のリスクを高めるが、それらもまたアルツハイマー病のリスク因子である。また、超加工食品からはしばしば、プラントベースの食事には豊富に含まれ、認知症を予防するのに役立つ、抗炎症成分や抗酸化成分の多くが除去されてしまっている。

米国では貧困もまたアルツハイマー病の増加の一因となっている。というのは、貧困によって、果物、野菜、全粒穀物などの栄養豊富な食品よりもより安価な超加工食品や肉類を摂取することで肥満が促進されるからである。

研究ではまた、米国におけるアルツハイマー病の罹患率が2038年には2018年の1.5倍になることが予測されている。これは米国の肥満の増加率とアルツハイマー病の増加率から推定したもので、肥満の増加とアルツハイマー病の増加には約20年のラグが存在するからである。

同様の推定結果は2018年にアルツハイマー病協会からも発表されており、その時の推定では1.56倍であった。この推定の根拠になっているのは、認知症のリスクを高める肉類や超加工食品の摂取により肥満もまた増加していくということである。リスクは食事によって減らすことが可能だが、全体として西洋型の食生活が続くために全体的なリスクは高まるのである。

「今回の包括的な研究レビューによって、アルツハイマー病における食事性因子の役割が明らかにされました。さまざまな視点からの根拠によって、果物、野菜、豆類、ナッツ、全粒穀物が豊富で、肉類、飽和脂肪、超加工食品の少ないプラントベースの食事がアルツハイマー病のリスクの低下に関連していることが支持されています。運動不足と肥満もまたリスクを高めます」と米国ハーバード大学のエドワード・ジョヴァヌッチ教授は述べている。

「メカニズムをより良く理解するにはさらなる研究が必要ですが、糖尿病、心血管疾患、一部のがんに関連する食事やライフスタイルの要因がアルツハイマー病のリスクに影響を与える可能性が高いようです」

出典は『Journal of Alzheimer’s Disease

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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