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公開日:2021-08-25

フレイルの重症度は、高齢者の死亡リスクに関係する

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フレイル(虚弱)の重症度を見極めることは、在宅ケアを受けている高齢者の寿命を予測する上でとても重要であるようだ、というカナダ・ウォータールー大学からの研究成果が発表された。

フレイルとは、加齢に伴って身体生理機能や認知機能の維持や回復がしだいに困難になっていく状態をさす用語である(英語ではFrailtyだが発音しにくいので日本ではフレイルが正式の用語になった)。

研究チームは、カナダ・オンタリオ州在住で在宅ケアを受けている高齢者のうち、集中治療室(ICU)に入院した24,499名の患者データを解析した。24,499人のうち、26.4%(6,467人)が人工呼吸器を使用した。

全体の43.0%がICU入院から1年以上生存していた。入院前のフレイルの状態を、3種類の異なる指標を用いて評価した結果、全体および人工呼吸器を使用したグループの両方で、入院前のフレイルの重症度が1年後の生存率に関連していることが明らかになったという。最もフレイルの重症度が高かった患者のうち、ICU入院後1年間生存できた者は5人に1人に過ぎなかった。

「わたしたちの結果が意味しているのは、入院前のフレイルが、臨床的に危険な状態にある高齢者の治療計画と目標を立てる上で貴重な情報を与えてくれるものだ、ということです」と筆頭研究者でウォータールー大学ポスドク研究者のルーク・ターコッテ博士は述べている。

だが、ターコッテ博士は、フレイルレベルが集中治療による恩恵を受けるかどうかの目安になり得るとはいっても、フレイルは身体障碍とは区別されることが重要であり、特に身体障碍者においてそれを混同すべきではない、と述べている。

「加齢に伴う脆弱性に関連したフレイルという概念は、したがって複雑な健康問題を抱える高齢者に限定して適用されなければなりません」と主任研究者のジョージ・ヘックマン教授は述べている。

より小規模な人数を対象にした分析で、同様の結論に至った先行研究がすでにあるが、今回の研究は、より大規模であり、また国際的に標準化された健康評価指標を用いた点にも特徴があるという。

研究チームは、フレイルの概念が、集中治療を計画している在宅ケアの患者およびその家族との話し合いにおいて、最良の指針を与えてくれるものである、と信じているという。

「たとえば、フレイルの重症度が進んだ患者の場合、貧しい予後しか期待できないICUに行くことを望まないという意思を示すかもしれません」とヘックマン教授は述べている。「今後の研究では、ICU退院後の機能的回復や生活の質(QOL)の推移にも焦点を当てるべきでしょう。」

出典は『

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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