公開日:2013-04-10
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長い間謎だったビタミンEの抗がん活性の本態が明らかになったという米国オハイオ州立大学からの研究報告。
多くの動物実験でビタミンEにはがん予防の効果があることが示唆されてきたが、今回、前立腺がん細胞を用いた実験で、研究者らはビタミンEががん細胞の生存に必須のある酵素の活性化を阻害することを発見したという。その酵素の名前はAktといい、それがなくなるとがん細胞は死滅するというのである。
「これはビタミンEががんの予防と治療に有効であることを示すまったく新しいメカニズムです。長年にわたってわれわれはビタミンEを摂ってきましたが、誰もなぜ効くのかを厳密には知らなかったのです」と主任研究者のチェン教授は語っている。 |
ビタミンEは、がん細胞に吸収されると、その部位において、Aktの活性化を抑えるために、Aktともうひとつ別のたんぱく質(PHLPP1)を引き寄せる。そこは脂質に富む細胞膜領域である。PHLPP1は、腫瘍抑制因子として知られるもので、化学反応をおこしてAktを不活性化するので最終的にがん細胞は死に至る。
ビタミンEには、いくつかの種類があり、なかでもガンマ-トコフェロールと呼ばれる形態のものが、Aktを強力に引き寄せる形をしており効果的であるという。さらに、チェン教授らは、ガンマ-トコフェロールを化学的に修飾することで、さらに20倍も強力な抗がん作用を有するあたらしい物質を作り出した。分子の構造を変えることで、いっそうAktとPHLPP1を引き寄せやすくなったという。
実験的に前立腺がんを起こしたマウスの動物実験で、この物質の投与によって、がん細胞の増殖はプラセボ(偽薬)の場合に比べて明らかに抑えられた。このがん細胞を分析した結果、Aktの活性が抑えられていることがわかり、培養がん細胞動揺に動物体内でも同じメカニズムが働いていることが明らかになった。また同時に、この物質には特に毒性はないことも証明された。 |
チェン教授の目標は、がんの予防のために毎日摂取するための安全なサプリメントの開発であり、現在この物質の更なる改良に取り組んでいるということである。
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