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公開日:2017-05-29

ビタミンB群は、大気汚染から心臓を守ってくれる

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ビタミンB群(葉酸、ビタミンB6、B12)は、微小粒子状物質(PM2.5)の大気汚染による心血管系への悪影響を減らすことができるようだ、という米国コロンビア大学の研究が発表された。

p_131 健康でタバコを吸わない人が、ビタミンB群のサプリメントを摂ることによって、PM2.5が持つ心血管系と免疫系へのネガティブな影響を打ち消す効果がみられた。ビタミンB群によって、心拍数へのPM2.5の有害作用は150%弱められたという。同様に、白血球数においては139%、リンパ球数においては106%と、大きく減弱したことを研究チームは明らかにした。本研究は、大気汚染に対するビタミンB群のサプリメントの効果を調べた初めての臨床試験だということである。

大気中の微小粒子状物質は、全世界で年間370万人の早死の原因になっていると推定されているが、その多くは心血管系に対する急性の障害が原因である。集団レベルでは、PM2.5は心筋梗塞の最大の引き金だと考えられている。

「PM2.5は、最も一般的な大気汚染のひとつであり、心血管機能と免疫機能に負の影響を及ぼすことが知られています」と主任研究者のジア・ジョン博士は語っている。「本研究は、初めてビタミンB群のサプリメントが、PM2.5の心血管系と免疫系に対する急性の悪影響に対して、それを弱める効果のあることを証明しました。」

本研究は、3月に発表されたビタミンB群が大気汚染の遺伝子に対するネガティブな影響を打ち消すという研究に触発されたものであるという。

研究チームは、18-60歳の健康で喫煙をせず、ビタミン・サプリメントを常用していない10名のボランティアを対象に検討を行った。全員がプラセボ(偽薬)を4週間にわたって摂取した後、PM2.5(250μg/m3)に2時間曝露した時の影響と、その後ビタミンB群のサプリメントを4週間にわたって摂取した後、PM2.5に2時間摂取した時の影響を比較した。対照にはPM2.5を含まないきれいな空気に2時間曝露した時の影響を測定した。

「私たちのデータは、高濃度のPM2.5への2時間の曝露が心拍数、心拍変動率、白血球数に実質的な悪影響を及ぼすことを示しています。さらに私たちは、これらの影響が、4週間のビタミンB群サプリメントの摂取によってほぼ完全に回復できることを証明しました」と共同研究者のアンドレア・バッカレリ教授は語っている。

ただし研究チームでは、本研究が軽度の大気汚染しかない都市環境に住む健康な成人を対象にしたものであることから、重度の大気汚染地域に住む人々、特に小児や高齢者、また心血管系疾患の既往のある人々にも単純にあてはまると考えるべきではない、としている。

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「世界中の多くの都市で、はるかに高いレベルの大気汚染があり、その規制は公衆衛生上の重要な問題として残されています。私たちのような研究は、大気汚染をなくそうとする努力を無意味なものにするものではありません」とバッカレリ教授は語っている。

出典は『サイエンティフィックレポート』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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