公開日:2013-07-23
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砂糖の代わりに人工甘味料が添加された、いわゆるダイエット飲料やゼロカロリー飲料の類は、米国でも日本でも市場にあふれているが、それらはどこまで健康的なのだろうか。
『内分泌学代謝学の最新動向』誌の7月10日号に掲載されたオピニオン(信条)欄の記事は、健康に対する人工甘味料のネガティブな効果を紹介している。それらは、低カロリーという特徴から誰もが直感的に考えるのとはおよそ正反対のものばかりで、すべての人工甘味料にレッドカードを突きつけるものであるという。
人工甘味料とは、砂糖の数百倍の甘さを持つがカロリーはほとんど(あるいはまったく)ない合成の甘味料である。サッカリン、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウムがその代表的なもので、これに天然成分のステビアを加えたものを高甘味度甘味料と呼ぶこともある。
「人工甘味料入りの製品は低カロリーで健康的であり、ダイエットの助けになる、というメッセージは、米国では現在きわめてありふれたものになっています」と著者で米国パデュー大学のスーザン・E・スウィザーズは語っている。「けれども、このような主張の基になっている研究データは、実はそれほど堅牢なものとはいえないのです。ダイエット飲料のほうが通常の加糖飲料より身体に良いのは当たり前だ、と思うかもしれませんが、当たり前だからといって常に正しいわけではないのです。」 |
糖分を多く含んだいわゆる加糖飲料が米国における肥満や糖尿病、心筋梗塞、脳卒中といった生活習慣病のリスクを高めているという研究結果がこれまで数多く報告されてきた。人工甘味料を使用することで甘さはそのままで摂取カロリーを少なくすれば良いのではないかと多くの人が考えた結果、米国では人工甘味料入りのいわゆるダイエット飲料が巷にあふれかえることになった。
ところが、まったく意外なことに、人間を対象にしたいくつかの研究から、人工甘味料入りのダイエット飲料も、肥満やメタボ、糖尿病、心疾患などのリスクを高めることが明らかになってきたのである。毎日1本飲むだけでリスクは有意に高まるという。
しかも、問題はそれだけではないらしい。日常的にダイエット飲料を飲み続けると、甘いものを食べたときの脳内の快楽中枢の反応が変化し、ダイエット飲料では甘いものに対する欲望が完全には満たされなくなるという。ラットやマウスを用いた動物実験でも、カロリーゼロの人工甘味料を摂取することで甘味に対する味覚が変化して、甘くてかつ高カロリーの食物をより過剰に摂取するようになり、結果的に肥満したという結果が報告されている。 要するに、これまでの研究結果を見る限りでは、人工甘味料入りのダイエット飲料が通常の砂糖入り飲料に比べてはるかにマシであるなどとはとてもいえないということのようである。 |
これらの研究から言えることは、公衆衛生学的なメッセージとしてダイエット飲料を飲もうなど言ったりすれば完全に裏目にでそうだということです」とスウィザーズは語っている。「むしろ、砂糖や果糖に加えて、人工甘味料の摂取も控えた方が良いと呼びかけるべきです。」
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