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公開日:2023-07-13

スマートウォッチは入院患者の身体活動を促進する

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身体活動量計を内蔵したスマートウォッチなどのウェアラブル端末(ウェアラブル活動量計)は、日常生活に役立つだけでなく、脳卒中のリハビリなどで入院中の患者にとっても、回復を早める手助けになるようだ、という南オーストラリア大学の研究結果が『JAMAネットワークオープン』誌に発表された。

研究チームは、入院患者におけるウェアラブル活動量計の有効性について検証した先行研究の系統的レビューとメタ分析を実施した結果、ウェアラブル活動量計を装着した患者は、装着しなかった患者に比べて、より活動的になり、座りっぱなしの時間が減り、身体機能が改善されることを発見した。これらにより迅速な回復が期待できる。

具体的には、1,911名の患者(脳卒中や外科手術後のリハビリを含むさまざまな入院患者)を含む15件の先行研究を解析した結果、以下のようなことが明らかになった。

ウェアラブル活動量計を装着した患者は、そうでない患者に比べて、

  • ●平均して1日826歩多く歩くようになった
  • ●平均して1日10分間多く活動するようになった
  • ●座りっぱなしの時間が平均して1日36分間少なくなった

研究の筆頭研究者で博士候補生のキンバリー・ゼトー氏は、ウェアラブル活動量計が、入院中の患者の身体活動能力を改善し座位行動を減らす結果、患者の回復を早めることができるようだ、と述べている。

「入院はしばしば患者を極端な安静(不活動)状態に置きます。それは、逆説的ですが、かえって患者の健康状態を損ねてしまい、入院期間を長引かせる原因ともなっています」とゼトー氏は言う。

「ベッドの上で横になり、まったく動かずにいることで、さまざまな負の連鎖を呼び起こしてしまうのです。身体機能が低下するだけでなく、フレイルや身体障害の引き金になり、最悪の場合死亡リスクを高めることさえあるのです。」

「スマートウォッチのようなウェアラブル端末は、入院中に身体活動と座位行動を改善するための極めて優れた介入方法です。それによって、患者が日常生活に必要な平衡感覚や歩行といった身体機能を維持する手助けになり、それが患者の臨床的なアウトカムを改善することにもつながります。」

「826歩というのはあまり多いようには感じられないかもしれません。でも別の研究では1日250-500歩の増加でも入院期間の延長や再入院のリスクを防ぐ効果があることが示されているので、これは実際に意味のある数字なのです。」

主任研究者のキャロル・マヘア教授は、ウェアラブル活動量計には入院中の患者の身体活動を改善し改善を早める効果が期待できると述べている。

「入院が医療費に及ぼす負担は実際顕著なものがあります。ウェアラブル端末は、安くて効果的なツールとして、回復への旅をすばらしく促進してくれるのです。」

出典は『JAMAネットワークオープン

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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