健康食品を科学的に考察する情報サイト

サン・クロレラ 研究サイトSUNCHLORELLA LAB

健康食品を科学的に考察する情報サイト

世界の最新健康ニュース

時々の健康にかかわるニュースや最新の話題をお届けします。

世界の最新健康ニュース

公開日:2025-01-27

スマートウォッチのバンドに高濃度のフォーエバー・ケミカル

世界の最新健康・栄養ニュース

スマートウォッチやフィットネストラッカー(身体活動量計)などのウェアラブル・デバイスが普及し、多くの人が昼夜を問わず身に着ける時代になってきた。だが、それはいわゆる「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」に肌を直接さらすことでもあるようだ。高級なリストバンドに使われるフッ素ゴムの中には、とりわけ高濃度のPFHxA(ペルフルオロヘキサン酸、永遠の化学物質のひとつ)が含まれる製品があることが、最新の研究で明らかになった。

「この発見が重要なのは、私たちの皮膚が長時間直接接触し続ける物に永遠の化学物質が極めて高濃度に含まれているからです」と本研究の責任研究者であるグラハム・ピーズリー教授は述べている。

PFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、環境中で永久に残留し(つまりよく言えば長持ちする)、水、汗、油をはじくという2つの点で非常に優れた化学物質のグループである。こうした特性のため、メーカーはスマートウォッチやフィットネストラッカーのリストバンドを含むフィットネスウェアなど、多くの消費者製品にこれらの化学物質を使っている。だが、変色を防ぎ、汚れをはじく素材をつくるためには、フッ素ゴムは最適だが、PFASが皮膚の下に浸透する原因ともなり、有害になり得る可能性がある。

研究チームは、ブランドや価格帯の異なる22種類のリストバンドを検証した。ほとんどは新規に購入した製品だった。フッ素ゴム製と宣伝されていた13種類のリストバンドには(もちろん)フッ素が含まれていた。だが、フッ素ゴム製と宣伝されていなかった9種類のバンドのうちの2種類からもフッ素が検出されたため、PFASが含まれている可能性があった。PFASを検出したリストバンドのうち、30ドル以上のものには、15ドル以下のものよりも多くのフッ素が含まれていた。

続けて研究チームは、すべてのリストバンドについて、化学抽出を行い、含まれているPFASの種類を検討した。ただし、PFASの種類は多いため、今回調べられたのは20種類のPFASに限られる。

最も一般的に検出されたのはPFHxAであり、22種類のリストバンド中9種類に含まれていた。PFHxA濃度の平均値(中央値)は、約800ppbで、サンプルのひとつは16,000ppbを超えていた。

「肌に直接接触するウェアラブル消費者製品で、抽出可能な濃度(>1000ppb)に達した例はこれまで見たことがありません」とピーズリー教授は述べている。

リストバンドから大量のPFHxAが検出されたのは、フッ素ゴムの製造中に界面活性剤として用いられた物質が原因かもしれない、と研究者らは示唆している。現時点では、PFHxAがどれほど容易に皮膚に浸透するかは不明であり、もしそうであった場合の潜在的な有害性についてもわかっていない。とはいえ、ピーズリー教授によると、最近の研究では、通常の条件下ではかなりの割合が人間の皮膚を通過する可能性があることが示唆されているという。

「消費者が高価なバンドを購入したい場合は、製品の説明を読んで、フッ素ゴムを含むと記載されているものは避けることをお勧めします」と筆頭研究者のアリッサ・ウィックス博士候補生はコメントしている。シリコン製の低価格帯リストバンドの購入を推奨するとのことである。

 

出典は『Environmental Science & Technology Letters

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
関連記事
  • Google Bookmarks Google Bookmarks
  • はてなブックマーク はてなブックマーク