公開日:2017-11-24
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エナジードリンクは、それらの謳い文句である即時的な有効性とうらはらに、血圧上昇、肥満、腎障害、向リスク行動など重大な健康リスクをもつようだ、と米国ハーバード大学の研究チームが発表した。さらに、エナジードリンクをアルコールと混ぜて飲むという悪しき流行の危険性についても指摘されている。
「私たちは、エナジードリンクの摂取に関連する一連の問題を要約しました。そこには、心臓や腎臓、歯牙などへの身体的影響と共に、向リスク行動や不安、ストレスといった精神的な問題も含まれています」と主任研究者でハーバード大学公衆衛生大学院のジョシマー・マッテイ助教授は語っている。「調査から明らかになった科学的根拠は、それが健康に有害で、青少年への販売規制などによって摂取を制限すべきであることを示唆するものでした。」
エナジードリンクの大半は、どれもほぼ同じ成分が含まれている。水、砂糖、カフェイン、ビタミン、ミネラル、非栄養性刺激物(ガラナ、タウリン、朝鮮人参)などである。商品の中には、30mlあたり100mgのカフェインを含むものもあり、これはレギュラーコーヒー1杯分(12mg)の8倍以上である。カフェインの耐容上限量は成人の場合400mgであるが、青少年に関してはほとんど研究が存在しないという。 |
「エナジードリンク市場は過去20年間に劇的な成長を遂げました。米国では年間100兆ドル市場といわれています。それらはしばしば健康飲料と謳われており、活力を得て運動能力や集中力を高めるものと思われていますが、私たちのレビューは、そこに重大な健康リスクが潜んでいること、ガラナやタウリンなどの非栄養性刺激物の多くについては不明点が多いことを示しています」とマッテイ博士は語っている。
エナジードリンクの健康リスクのほとんどは、多量に含まれる砂糖とカフェインに原因があるとみられている。健康リスクは、ドラッグ使用や喧嘩などの向リスク行動、不安やストレスなどの精神衛生上の問題だけでなく、血圧上昇や、肥満、腎障害、疲労、胃痛、いらいらといった身体上の障害まで幅広い。
本レビューは、エナジードリンクをアルコールと混ぜて飲むというもうひとつの悪しき習慣についても焦点をあてている。エナジードリンクと混ぜて飲む習慣を持つ者は、より多くのアルコールを消費することが知られている。エナジードリンクは、アルコールの酩酊感を隠す作用があるようで、その結果、より多く飲酒して脱水や中毒を起こし易くなるらしい。
マッテイ博士らは、今回の結果からエナジードリンクの健康問題に光が当たることで、公衆衛生当局が改善の方向に動き出すことや、足りない知識を補う研究が活性化されることを期待している。 「本分野の研究は極めて限られているので我々の知見も限定されたものです。今後、タウリンの長期影響や、より影響を受け易いと思われる人口集団に対する広範囲の健康影響が調べられる必要があるでしょう」とマッテイ博士は説明している。 |
「とはいえ、エナジードリンクが健康上の問題を引き起こすことに関しては、現在既に充分なエビデンスが存在し、それは短期的な利益を上回るものだと私たちは結論しました。」
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