公開日:2019-03-26
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中年期に身体的かつ精神的にアクティブな状態を維持することは、老後の認知症リスクを下げるようだ、という研究結果が『神経学』誌オンライン版に発表された。ここでいう精神活動には、読書、楽器演奏、聖歌隊、コンサート観賞、庭いじり、裁縫、宗教活動など広い範囲の活動が含まれる。
「この結果が示しているのは、中年期に活動的でいることが、老後の認知症の予防と認知機能の健康に重要な役割を持っているということです」と研究を行ったスウェーデン・ヨーテボリ大学のジェンナ・ナジャール医師は語っている。「こうした活動の多くが、費用もかからず誰でも気軽に実行できるものであることは、とても興味深いですね。」
本研究は、800名のスウェーデン女性(平均年齢47歳)を対象に、44年間の追跡調査を行ったものである。研究開始時に、参加者は精神的および身体的活動について尋ねられた。精神活動は、知的活動(読書、執筆)、芸術活動(楽器演奏、聖歌隊)、手仕事(裁縫、庭いじり)、クラブ活動、宗教活動の5つに分類された。 |
参加者は、5つの分野のそれぞれについて0(なし)、1(普通)、2(高い)を回答した。例えば、過去6か月以内に1回演奏会に参加したり絵画展に出品していれば「1」、回数が多ければ「2」。5分野すべてが非常にアクティブなら「10」満点ということだ。
研究チームは、参加者を上位と下位の2群に分けた。下位は0-2点の人々で全体の44%がこれに含まれた。上位は3-10点の人々で56%がこれに含まれた。
身体活動についても参加者を活発と不活発の2群に分けた。活発群は、ウォーキング、庭いじり、ボーリング、サイクリングなどを週4時間以上している人で、全体の82%が含まれた。不活発群には17%の人が含まれた。
追跡期間中に、194名の女性が認知症と診断された。うち102名はアルツハイマー病、27名は血管性認知症、41名は混合型認知症だった。
データ解析の結果、精神活動が上位だった女性は、下位だった女性に比べて、アルツハイマー病のリスクが46%低かった。また認知症の発症リスクが34%低かった。身体活動が活発だった女性は、不活発だった女性に比べて、血管性認知症の発症リスクが52%低かった。また混合型認知症の発症リスクが56%低かった。 研究チームは、認知症リスクに影響する別のリスク因子、例えば高血圧、喫煙、糖尿病などの影響を除いた。また追跡期間の前半に認知症を発症した女性を除外した。これは、すでに病気の前駆症状としてアクティブでなくなっていた可能性があるからである。そうして再計算しても結果はほとんど変わらなかったという。ただし、身体活動が活発であると全体的な認知症リスクが34%低下することが新たにわかった。 |
本研究の限界としては、精神活動と身体活動の状況を研究開始時にしか調査していないこと、参加者が全員スウェーデンの白人女性であることなどが挙げられる、と研究チームはコメントしている。
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