公開日:2017-02-24
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もう運動する時間がないという言い訳は通用しなくなる? カナダ・マクマスター大学の研究チームは、短時間かつ高強度の階段駆け上がり運動(いわゆる「階段ダッシュ」)という、基本的に誰でもいつでも可能な方法によって、大きな健康効果が得られるようだと報告している。
この発見は、運動しない人がしばしばつぶやく「時間がない」と「場所がない」という言い訳を、実質的に無意味なものにしてしまうものといえるだろう。
「階段を昇ることは、誰もが家で、あるいは仕事場や外出先でもできる運動です」と筆頭研究者のマーチン・ギバラ教授は語っている。「本研究は、いわゆるインターバル運動を実験室から誰もが利用できるものへと橋渡しする役目を果たしているのです。」
これまでの研究でも、激しい階段駆け上がり運動を週70分(!)すれば効果的であることはわかっていた。けれども、全力インターバル運動(SIT)という短時間の全力運動を短い回復時間を挟んで行う種類の運動が、同様に効果的であるかどうかはハッキリしていなかったという。 |
研究チームは31名の座位中心の生活を送る女性(平均年齢24歳、平均BMI=23)を対象に、2つの異なるプロトコールの効果を検証した。どちらも、ウォームアップからクールダウン、回復までキッチリ10分間しかかからないものである。運動は週3回行い、それを6週間継続した。
プロトコール1では、20秒間の全力階段駆け上がり運動を、休憩をはさんで断続的に3回実施した。対照群には、階段運動の代わりに、既に効果が知られているエアロバイクを全力で漕いでもらった。
プロトコール2では、60秒間続けて1階または2階分の階段を昇り降りした。これも休憩をはさんで断続的に3回実施した。こちらは自宅でも容易に実行可能なものである。
どちらのプロトコールでも、必要な時間は週当たり10分×3回だけだったが、心肺フィットネスレベルが改善し、糖尿病に関連する重要なバイオマーカーの値を改善できることがわかったという。
興味深いことに、参加者は、60秒×3回のプロトコールよりも20秒×3回の方を好み、また2階分の昇り降りよりも1階分の方を好んだという。2階分だとコーナーを回らなければならず、それが姿勢を不安定にさせることが嫌われた原因のようだ。 別の研究では、フィットネスクラブなどで専門家に監督されながらの運動よりも、日常生活に組み込まれた形での運動を、電話で専門家がサポートする形のほうがより効果的であることが示されている。 |
「インターバル運動は、生活に組み込むことが容易な運動手段であり、そのために生活すべてを組み立て直す必要がありません」とギバラ教授は語っている。ただし、通常の日常生活の中での訓練を完全に実施するのは困難である場合が多いことから、今後、より大規模の集団を対象に、階段ダッシュがどれだけ順守され効果を発揮できるかを検討していく必要があるとしている。
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