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2021-06-23

食生活が乳房細菌叢と乳がんリスクに影響を及ぼす

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食事は、乳房の細菌叢を変化させるだけでなく、乳がん腫瘍の増殖にも影響を及ぼす可能性があるようだ、という米国ウェイクフォレスト医科大学の研究結果が発表された。

一般に細菌叢といわれて思い浮かべるのは腸内の腸内叢のことかもしれないが、もちろん乳房にも細菌叢がある(体中にある)。それは乳房の健康に関与しており、乳がんにも影響している可能性が高いが、まだよくわかっていない部分が多い。

2018年に、研究チームは、乳房の細菌叢が、腸内の細菌叢と同じように、食事によって影響を受けることを示したが、今回、魚油を含んだ食事が乳房の細菌叢を変えるだけでなく、乳がん腫瘍にまで影響を及ぼせることを初めて明らかにした。この研究結果は、米国がん研究協会のオフィシャルジャーナルである『がん研究』誌に発表された。

細菌叢、食事、そしてがんリスクの関係をよりよく明らかにするために、研究チームは、モデルマウスを用いた動物実験と、実際の乳がん患者を対象にした臨床試験の両方を行った。

「肥満は、高脂肪食の過剰な摂取によってしばしば起こる現象ですが、閉経後女性の乳がんのよく知られたリスク因子でもあります」と主任研究者のキャサリン・クック准教授は語っている。「けれども、私たちは、肥満が体の細菌叢にどのような影響を及ぼすのか、そしてそれが乳がんに作用して患者のアウトカムを変化させるのか、ほとんどなにも知らないままなのです。」

研究の第1部では、遺伝的に乳がんになり易いマウスに、高脂肪食または低脂肪食を食べさせる実験をおこなった。高脂肪食を食べたマウスは、低脂肪食を食べたマウスに比べて、より多くの乳がんを発症しただけでなく、腫瘍がより速く、より大きく増殖することがわかったという。

次に、細菌叢の影響について調べるために、研究チームは、糞便移植を実施した。高脂肪食を食べたマウスの糞便を、低脂肪食を食べたマウスに移植し、逆に低脂肪食を食べたマウスの糞便を、高脂肪食を食べたマウスに移植した。

すると、高脂肪食マウスの糞便を受けた低脂肪食マウスでは、腸内細菌叢と同時に乳房細菌叢にも変化がみられただけでなく、高脂肪食マウスと同様に、乳がん腫瘍の増殖が活発になったのである。

「単に高脂肪食を食べたマウスの腸内細菌叢を移植するだけで、乳がんリスクを高めるのに十分であることが私たちのモデルで証明されました」とクック博士は述べている。「この結果は、細菌叢と乳房の健康が関連していることを明らかにするものです。」

この動物実験の結果は、乳がん患者にとって、どのような意義をもっているのだろうか。それを明らかにするために、研究の第2部において、研究チームは、実際の乳がん患者13名を対象にした二重盲検プラセボ対照臨床試験を実施した。患者は、腫瘍摘出手術または乳房切除手術を受ける前の2-4週間にわたって、魚油かプラセボ(偽薬)のどちらかを摂取した。

結果として、魚油のサプリメントを摂取した患者では、腫瘍組織と非腫瘍組織のどちらにおいても、乳房細菌叢に顕著な変化がみられた。たとえば、研究チームは、魚油サプリメントのより長い摂取(4週間)によって、乳酸菌ラクトバチルスが、腫瘍に隣接する正常組織に増加することを発見した。ラクトバチルスは、動物を用いた前臨床モデルにおいて、乳がん腫瘍の増殖を抑えることが示されていることから、本介入試験においても抗がん効果をもたらした可能性が示唆される。また、研究チームは、魚油サプリメントの摂取によって、バクテロイデスとルミノコッカスが減少したことも確認したが、その意義は不明だという。

「本研究は、食事が、腸内細菌叢と乳房細菌叢の形成に重要な役割を担っていることを示す新たな根拠のひとつです」とクック博士は言う。「最終的には、私たちの研究は、乳がんリスクを低下させる食事介入試験への道を拓くものになるかもしれません。」

クック准教授らはまた、今回用いた魚油だけでなく、プロバイオティクスが、乳腺や乳がん腫瘍の細菌叢に及ぼす影響についての研究も計画中とのことである。

出典は『がん研究

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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