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2021-01-21

食事が腸内細菌を介して人間を健康にする強力な証拠を発見

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糖尿病や心筋梗塞などの病気のリスクは、植物性食品主体の食生活による腸内細菌の改善によって下げることができるようだ、という研究結果が『ネイチャー医学』誌に発表された。

本研究は、個人レベルの食事、腸内細菌、健康の関係を明らかにするものであり、英国キングスカレッジロンドンや米国ハーバード大学などが連携した、この種のものとしては過去最大かつもっとも詳細な国際共同研究である。

研究チームは、「食事組成に対する個別化反応臨床試験(PREDICT1)」に参加した1,098名から採取した1,203種の腸内細菌のメタゲノム解析を実施した。メタゲノム解析というのは腸内に存在するすべてのゲノム(DNA遺伝子)を解析するもので、従来の方法では見つけられなかった細菌も発見することができる。さらに研究チームは、参加者に対して長期にわたって個人の詳細な食事データを収集し、また数百項目におよぶ血液マーカーを検査した。

解析の結果、腸内細菌には、糖尿病や心血管疾患のような重篤な病気のリスクを低くする15のグループと、リスクを高める15のグループが存在することが明らかになった。また個人の腸内細菌の種類は彼の食事の内容に密接に関係しており、さらに彼の腸内細菌は、血液マーカーの検査値とも密接に関連していることがわかったという。驚くべきことに、これらの血液マーカーと腸内細菌の結びつきは、遺伝など他の因子よりもはるかに強いものだった。

「栄養学研究者として、ある種の食品や代謝と特に結びつく新たな微生物を発見することはとても興奮を覚える体験です。個人の腸内細菌叢の組成は極めて個性的ですが、生物学的な特性に合わせたベストの食事を選択することで、腸内細菌叢を最適化できることが、私たちの研究から明らかになりました」と筆頭研究者のサラ・ベリー博士は述べている。

例えば、腸内にプレボテラ・コプリやブラストシスチス属の細菌が豊富に存在することは、食後の血糖値を安定に保つことに関連していた。同様に、食後の血中脂肪や炎症マーカーを下げる細菌も見つかった。

主任研究者のティム・スペクター教授は、「あなたが何かを食べる時、それはあなたの身になるだけでなく、腸内に棲息している何兆個もの微生物にエサを与えていることになるのです」と述べている。

今回の研究によって、人の腸内細菌叢の組成が、特定の栄養素、食品、食品群、そしてトータルの食生活に強く影響されていることが明らかになった。そして、肥満、心血管疾患、あるいはグルコース不耐症などを予測できる、細菌に基づいた堅牢なバイオマーカーも見つかった。これらの知識は、個人が健康改善のためにどのような食事をしたらよいかを教えてくれるものだという。

すでに研究チームではこれを在宅で使えるようにキット化している。この検査キットは、AIによって、どのような食事にどのように身体が反応するかが瞬時に計算され、何を食べたらよいか個別の推奨が受けられるものだという。

さらに研究チームは、健康的な植物性食品の豊富な食事を摂る人には「善玉」の腸内細菌が高レベルで存在することを発見した。逆に、加工された植物性食品の多い食事を摂る人には、「悪玉」の腸内細菌が多かったという。

「私たちは、分析を通じて、このようにいわゆる『善玉』とか『悪玉』とか明確に分類できるような細菌の大きなグループが見つかったことに驚いています」と共同研究者のニコラ・セガタ教授は述べている。「さらに驚いたのは、これらの細菌の多くがまだ名前も付いていないような未知の細菌だったということです。本研究が今後多くの研究分野を切り開き、新しい洞察をもたらしてくれる出発点になることは疑いようがありません。」

出典は『ネイチャー医学

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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