健康食品を科学的に考察する情報サイト

サン・クロレラ 研究サイトSUNCHLORELLA LAB

健康食品を科学的に考察する情報サイト

世界の最新健康ニュース

時々の健康にかかわるニュースや最新の話題をお届けします。

世界の最新健康ニュース

2021-03-31

植物性たんぱく質を多く摂る女性は認知症の死亡リスクが低い

世界の最新健康・栄養ニュース

植物性たんぱく質が豊富な食事を摂っている閉経後女性は、そうでない女性に比べて、心臓病や認知症で早期に亡くなるリスクが低下するようだ、という研究結果が発表された。

これまでの研究で、赤肉(牛肉や豚肉などの主に獣肉を指す)が多い食事によって心血管系疾患のリスクが高まることが明らかになっているが、たんぱく質の種類と死亡リスクの関係については、研究もそれほど多くなく、はっきりした結論はでていなかった。

今回、研究チームは、50-79歳の10万人以上の閉経後女性を対象にした「女性健康イニシアチブ研究」のデータを解析した。この長期大規模疫学研究プロジェクトは1993年に始まったもので、2017年2月までのデータが用いられた。対象者は、研究参加時に、食事摂取頻度調査アンケートに回答し、卵、乳製品、鶏肉、赤肉、魚介類、そして、豆腐、ナッツ、豆類など植物性たんぱく質の摂取が調べられていた。研究期間中に25,976名の死亡が確認された(死因の内訳は、心血管系疾患が6,993名、がんが7,516名、認知症が2,734名だった)。

研究チームは、女性を、たんぱく質の種類(動物性、植物性、加工肉、卵など)ごとに、食べた量の多い少ないで二つの群に分けて比較した。各々の群の女性の平均摂取量は、たとえば、動物性たんぱく質については、多く摂取した女性で16.0%、少なく摂取した女性で7.5%だった。植物性たんぱく質については、多く摂取した女性で6.8%、少なく摂取した女性で3.5%だった。ここでいうパーセントとは、総カロリー摂取量に占める各たんぱく質の割合である(通常、脂肪が30%、炭水化物が55%程度で残りがたんぱく質)。

データ解析の結果わかった主な発見は以下の通りだった:

  • ●植物性たんぱく質の摂取が多かった女性は、少なかった女性に比べて、総死亡リスク(すべての死因による死亡のリスク)が9%低く、心血管系疾患による死亡リスクは12%、認知症関連の死亡リスクは21%低かった。
  • ●加工赤肉製品の摂取が多かった女性は、少なかった女性に比べて、認知症関連の死亡リスクが20%高かった。
  • ●加工されていない肉、卵、乳製品の摂取が多かった女性は、少なかった女性に比べて、心血管系疾患による死亡リスクが、各々、12%、24%、11%高かった。
  • ●卵の摂取が多かった女性は、少なかった女性に比べて、がんによる死亡リスクが10%高かった。
  • ●けれども、卵の摂取が多かった女性は、少なかった女性に比べて、認知症関連の死亡リスクは14%低かった。鶏肉の摂取が多かった女性も、認知症関連の死亡リスクが15%低かった。

 

「どうして卵が心血管系疾患とがんによる死亡リスクの上昇に関連していたのか、その理由は明らかではありません」と筆頭研究者でアイオワ大学助教授のウェイ・バオ博士は述べている。「もしかしたら、それは人々が卵を調理するやり方にも関係しているかもしれません。卵は、茹で卵、スクランブルエッグ、ポーチドエッグ、目玉焼き、酢漬け卵、半熟卵、その他、様々な食品と組み合わせて調理されます。米国では目玉焼きで食べることが多く、ベーコンを一緒に炒めることが多いのです。私たちは、データの分析にあたって、多くの交絡因子(たとえば卵に対するベーコンの影響)を取り除くようにしましたが、卵は様々な食材と共に調理されるので完全に取り除くことは困難でしたし、あるいは食事と直接関係ない、卵の摂取にまつわる未知の因子が関係しているのかもしれません。」

研究チームは、赤肉、卵、乳製品の摂取を、ナッツに置き換えることで、総死亡リスクは12%から47%(置き換える元のたんぱく質によって異なる)低下すると述べている。

「食事中のたんぱく質というのは、(プロテインサプリとは異なり)それ単独で食べられるものではないというのは重要なポイントです。したがって、これらの結果の解釈は簡単とはいえず、様々な調理法なども考慮して食事全体として考えていく必要があります」と共同研究者のヤンボ・サン博士は述べている。

分析の結果明らかになったもうひとつの事実は、肉や乳製品などの動物性たんぱく質を多く摂取していたのは、白人で高学歴、高収入の女性が多く、過去に喫煙歴があり、飲酒量も多めで、運動習慣は少なめであるといった傾向がみられたことである。さらに、研究開始時点で2型糖尿病に罹患している、家族に心筋梗塞患者がいる、肥満であるといった傾向もみられた。これらはすべて心血管系疾患のリスク因子である。

「私たちの知見は、将来の食事ガイドラインにおいて、たんぱく質の供給源を熟慮する必要があることを示唆しています」とバオ博士は述べている。「現行のガイドラインは、たんぱく質の総摂取量に焦点があてられていますが、わたしたちの研究結果は、たんぱく質を含む食品の種類によってその健康影響は異なることを示しているからです。」

本研究にはいくつかの限界があるという。まずそれは観察的研究であり、食事データは研究開始時点での自己申告に依存している。聞いているのは食材のことであって、たんぱく質がどのように調理されたかは不明である。さらに、閉経後女性を対象に限定した今回の結果は、おそらく若い男女にはそのまま当てはまらない可能性が高いだろう。

出典は『米国心臓学会雑誌

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
関連記事
  • Google Bookmarks Google Bookmarks
  • はてなブックマーク はてなブックマーク