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2021-09-30

体力のある子供はメタボによる動脈硬化リスクが低い

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幼少期から体力レベルを高めることが、動脈硬化の防止に有効なようだ、という東フィンランド大学などによる研究結果が発表された。研究チームはまた、体脂肪が従来考えられていたようにリスクを高めるだけのものではないことも発見したという。

動脈硬化症が原因となっておこる心筋梗塞や脳卒中などの心血管系疾患は、世界中で主要な死因の上位を占めている。メタボリック症候群として近年注目を集めている血圧上昇、脂質異常、体脂肪過多(肥満)といった「代謝系リスク因子」は、動脈硬化の進行に強い影響を及ぼす。

東フィンランド大学、エクセター大学、ブリストル大学の国際共同研究チームは、この動脈硬化の進行に対する代謝系リスク因子の影響に、体力レベルがどのように関与しているのかを明らかにするために『エイボン親子縦断研究(ALSPAC)』のデータを解析した。

この誕生コホート研究は、1991年に14,000人以上の妊婦を対象に開始されて以来25年以上にわたって追跡調査されている、世界で最も長く続く誕生コホート研究である。今回はその参加者である9-11歳の英国人小児5,500名以上のデータを解析した。

動脈硬化にはさまざまなリスク因子が関与する。研究チームは、既知のリスク因子の影響を除去して解析を行った結果、体力レベルが高まるだけで、「代謝系リスク因子」がもたらす動脈の弾性と剛性(ともに動脈硬化の指標)に対する悪影響が4-12%軽減されることを発見したという。言い換えれば、100人のメタボリック症候群の子供が動脈硬化症を発症する場合でも、体力レベルが高い子供4-12人は発症を免れるということである。

「この結果は、臨床的にも公衆衛生的にも有意義なものです。ただし、本研究(エイボン研究)の対象集団は基本的に健康な子供たちばかりですから、追加の、肥満やメタボリック症候群の有病率が高い集団での前向き研究によって、同様の結果が得られたらという条件付きです。もしそれらの研究においても同様の結果が得られれば、小児期からの体力レベルの向上は、成長後にメタボリック症候群が心血管系に及ぼす悪影響を予防することができると言えるでしょう」と筆頭著者で東フィンランド大学のアンドリュウ・アグバエ博士は語っている。

「これらのデータは、子供たちが適正に体力を発達させながら成長していくことが重要性であるという、ますます増え続けているエビデンスに新たなエビデンスを追加するものです。子供たちは、健康のための身体活動ガイドラインを満たすことでそれを達成することができるでしょう。ガイドラインでは、子供たちに1日60分の中強度から高強度の運動を奨励しています。子供たちは、集中的に運動を行うというよりは、1日のアクティビティを通じて自然にそれを達成するのが望ましいでしょう」と主任研究者でエクセター大学のアラン・バーカー准教授は語っている。

■動脈の健康と体脂肪の関係には2種類あることを発見
本研究によるもうひとつの重要な発見として、体脂肪が動脈に悪い影響を及ぼすばかりではなかった、ということが挙げられる。体脂肪はコレステロールの動脈への沈着を増やし動脈硬化を促進するだけだと考えがちであるが、そうではないのだという。

研究チームは、子供の動脈の硬さが増すと体脂肪が減り、逆に動脈の機能が高まると体脂肪が増えることを発見した。そのような関係は年齢、性別、思春期開始時期、血圧、社会経済状態、総体脂肪量、心肺フィットネスレベル、LDL-コレステロール量、動脈の太さの影響を除いた後にもみられた。

この発見は、「動脈パラドックス」とでも呼ぶべきもので、子供たちの動脈が健康的であるならば、同時に健康的な体脂肪の蓄積も促進されるというわけだ。健康的な体脂肪というわけは、対象者の子供たちのうちで肥満は5%未満だったからである。

「したがって、この『動脈パラドックス』がその後どうなっていくのかを前向き研究によって明らかにしていくことが重要だと思います」とアグバエ博士はコメントしている。

出典は『スポーツ及びエクササイズの医療と科学

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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