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2019-10-11

フレイルは加齢の避けられない結果ではない

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全世界におけるフレイル患者は、毎年4.3%ずつ増加しているようだ、という豪州モナシュ大学のメタ分析の結果が『米国医学会誌(JAMA)ネットワークオープン』誌に発表された。

フレイルについて、日本老年医学会は、「高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、(中略)身体的問題のみならず、(中略)精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念」であると述べている。

今回、ダニー・リュー教授率いる研究チームは、28か国から60歳以上の対象者12万人以上を含む46件の疫学研究について、データを統合して解析するいわゆる「メタ分析」を実施した。筆頭研究者のリチャード・オフォリ=アセンソ博士によれば、世界規模におけるフレイルの有病率についての推定値を算出したのは本研究がはじめてであるという。

用いられた疫学研究の平均追跡期間は3.0年であり、その間に13.6%がフレイルを発症した。これを年あたりに換算した結果、毎年60歳以上の人々の4.3%がフレイルになることが明らかになった。また研究では、女性のほうが男性よりもフレイルになりやすいことも示された。

2050年には世界人口の20%以上が60歳以上になるといわれており、フレイルと診断される者は今後ますます増加していくことが予想される。

フレイルの診断基準には世界的に統一された「業界標準」がまだ存在しない。そこで一般的には、次の5つの条件のうち3つに合致する場合をフレイルとすることが多く、ここでもそれが用いられている。

  • ●身体活動が低い
  • ●握力が弱い
  • ●低エネルギー状態
  • ●歩行速度が遅い
  • ●意図的でない体重減少
フレイルは生活の質(QOL)を低下させ、死亡、入院、施設入所のリスクを高める。高齢者で多くみられる傾向はあるが、年齢の若い人でも障害を伴う慢性疾患を一つ以上抱えている人にはフレイルがみられることがある。

オフォリ=アセンソ博士によれば、「私たちの結果は、高齢者がフレイルを発症するリスクの高さを示唆しています。これは世界的な問題であり、高齢化社会に直面するすべての国における重要な課題のひとつです。」

とはいうものの、ニュースは悪いことばかりではないという。筋力トレーニングやたんぱく質補給のような介入によって、フレイルの進行を予防したり遅らせることが可能であることも、いくつかの研究によって示唆されているからだ。

それゆえ研究チームは、高齢者のフレイル発症につながる脆弱性を評価する定期検査によって、早期に適切な処置が施せるようになることを期待しているという。

さらに、研究チームはこれまでの研究から、フレイルの治療可能性への糸口を見出しているという。つまりフレイルは決して片道切符ではなく、可逆的な状態であることが示唆されているのである。今後の進展を待ちたい。

出典は『JAMAネットワークオープン』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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