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2016-10-24

中年期の高血圧は加齢による認知機能の低下に影響する

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中年期の高血圧は、加齢に関連した認知症のリスクを高める因子のひとつであるようだ、という米国心臓協会の科学的声明が発表された。この声明は、アルツハイマー病や脳血管障害が原因で起こる高齢者の認知障害に、高血圧とその治療がどのように影響するか調べた文献をまとめたものである。

多数の先行研究をレビューした結果、中年期の高血圧が後年の認知症の発症リスクを高めることは、ほぼ間違いがないという結論が得られた、と声明は述べている。

p_123 最も一般的な神経疾患のひとつである認知症は、世界中で3,000-4,000万人の患者がいると推定されている。認知症の主要な原因には、アルツハイマー病と血管性認知障害のふたつがあり、全患者の80%を占める。患者はしばしば両方の原因をもっているという。今後2050年までには人口の高齢化などによって3倍まで増加し、1兆1000億ドルを超えるコストがかかると予想される。

脳血管性認知障害は、脳の血流に障害が起きることで、軽度のものから重度のものまで種々の脳機能障害をもたらすものである。高血圧は、動脈硬化を促進し、微小血管の柔軟性を失わせ目詰まりや出血を起こし易くするため、脳機能障害のリスクを高める。

従って、高血圧を治療して血圧を下げれば、認知症のリスクは低下すると思われるのだが、意外なことに、中年期の高血圧を積極的に治療して、血圧を下げた場合、加齢による認知症のリスクは下がるのかどうか、という重要な疑問について、声明では判断を保留せざるを得なかったという。

その理由として、声明委員会の委員長であるコンスタンチノ・イアデコラ博士は次のように語っている。「多くの観察的研究において、高血圧の治療が血管性認知障害のリスクを下げることが示唆されています。けれども、観察的研究というものは、因果関係を証明するようにはできていません。」

「私たちは、高血圧の治療が、心臓マヒや心不全、脳卒中などの心血管障害のリスクを低下させることを知っており、今後も治療が重要であることに変わりありません。けれども、病気の因果関係を明らかにするためには臨床試験を行う必要があります。高血圧、とりわけ中年期の高血圧を治療することが、後年の認知障害のリスクを低下させることを確かめる必要があるのです」とイアデコラ博士は語っている。

つまり、観察的な研究だけではいくら多くの研究があっても結論づけるには不十分だということだ。委員会が参照した大部分の臨床試験は、直接的に高血圧と認知機能の関係を調べたものではなかったので、認知症患者をどのように治療するかについてのガイダンスを医療従事者に与える声明を作成することは不可能だったという。

この問題を解明しようとする研究者が直面する困難のひとつは、患者の高血圧と、実際の認知機能の低下が起こるまでの間にはかなりのタイムラグが存在することであるという。そのため、長期にわたる研究において、どのタイミングで高血圧の薬物治療を始めれば脳を保護できるかを厳密に明らかにするのは極めて難しい問題である。

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声明では、今後成果が期待される臨床試験として、1万人近い参加者を対象としたSPRINT臨床試験を挙げている。これは高血圧を治療した場合のさまざまな効果を検証しようとするものであり、認知機能に対する効果を調べたSPRINT-MINDの結果が、来年中に発表される予定である。

「SPRINT-MIND臨床試験は、高血圧治療が認知機能障害に及ぼす役割を正確に評価できるようにデザインされた現在進行中の新しい研究です。高血圧治療が認知機能障害のリスクをどれだけ減らせるかという重要な疑問に対する回答をもたらしてくれることが期待されています」とイアデコラ博士は語っている。「その時までは、脳、心臓、腎臓を守るため患者には個別に高血圧治療を行うことを推奨します。」

出典は『高血圧』

監修・執筆 執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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