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2015-03-26

ビタミンDが炎症を抑えて心臓病と糖尿病を予防するメカニズム

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ビタミンDは、免疫細胞の表面に存在する受容体に結合して信号を送ることで、心血管代謝疾患につながる慢性炎症をしずめる働きがあるようだ、という研究結果が『細胞レポート』誌に発表された。心血管代謝疾患とは、心臓病と2型糖尿病が組み合わさったもので、先進国における疾病・死亡の主要な原因のひとつである。

「糖尿病や心臓病の患者には、血中ビタミンD濃度の低い者が多いことから、我々はビタミンDと免疫機能がどのようにこれらの疾患に関与しているのか調べようと考えました」と主任研究者で米国ワシントン大学セントルイス校医学部のカルロス・ベルナール-ミズラヒ准教授は語っている。ビタミンDは、カルシウムの吸収を良くする以外にも様々な活性が明らかになってきていることから、欧米では最近特に注目されている栄養素である。

1427348509 今回研究チームは、遺伝子改変によって免疫細胞(単球とマクロファージ)のビタミンD受容体をもたないマウスを用いて実験をおこない、血管壁に動脈硬化性プラークの沈着が増えると共に、インスリン抵抗性が発現することを発見したという。つまり、受容体を欠くマウスではビタミンDが作用を発現できず、動脈硬化やインスリン抵抗性が現れるようになったというわけである。

ちなみに、インスリン抵抗性とは、肝細胞がインスリンに反応しにくくなり、正常な血糖値の維持が困難になった状態で、2型糖尿病の発症につながる前糖尿病状態といわれるものである。

「マクロファージのビタミンD受容体が働かないことで、肝臓と動脈壁の炎症反応が促進されました。同様に単球の血管壁への粘着能が高まり、これが血管壁にコレステロールの沈着と炎症媒介物質の放出を引き起こしました。これらは糖尿病や心臓病につながるものです」とベルナール-ミズラヒ准教授は語っている。「これはつまり、(受容体さえ正常に働くなら)ビタミンDには免疫細胞のこのような性質の発現を低下させることによって炎症を抑え、心血管代謝疾患のリスクも下げる作用があるということです。」

このことを確認するために、研究チームがビタミンD受容体を作る能力を持つ骨髄細胞を、受容体を持たないマウスに移植したところ、インスリン抵抗性が低下し、動脈硬化も抑えられ、また血管壁への脂肪の沈着が抑えられたという。

本研究の結果は、ビタミンD欠乏や、あってもそれを処理する代謝系に問題がある場合、慢性的な炎症とそれに続く深刻な健康障害が起きる可能性が高まることを示唆している。先行研究においても、ビタミンD欠乏症の患者は糖尿病の発症リスクが高まること、糖尿病患者が充分なビタミンDを摂取することで、脂肪に富むマクロファージの形成が制限され動脈硬化症が低下することが示唆されている。

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「私たちの発見は、今後実施される(私たち自身のものも含めた) 、ビタミンDが心血管代謝疾患に及ぼす影響を評価する、いくつもの臨床介入研究に、さらなる理論的基盤を提供するものとなるでしょう」とベルナール-ミズラヒ准教授は語っている。「加えて、我々が発見した動脈硬化のメカニズムを形成するところの単球におけるコレステロール輸送の発見は、まったく新しい心臓病治療法のための研究領域を切り開くものといえるでしょう。」

出典は『細胞レポート』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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