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公開日:2015-01-30

健康のイメージ:身体に良いものは不味い?

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1422586751 健康促進キャンペーンがうまく行かないのは、消費者が味だけを基準に食べ物を選ぶから、という独キール大学の研究結果が、『公共政策経済雑誌』に発表された。

メタボや生活習慣病の増加が世界的な問題になって久しい。しかし、それを解消するための効果的な手法は依然として見つかっていない。従来の健康政策の多くは、主として人々の健康意識を向上させることに焦点があてられていた。だが著者らによれば、実は「健康意識」は食品選択の上で重要な役割を持たないのではないかという。たとえ健康意識が高まっても、消費者は結局のところ「不健康=美味しい」という思い込みから抜けられないようだ、というのである。

健康的な食事習慣を身につけようという政府や自治体の努力にもかかわらず、多くの消費者が依然として二つの理由から不健康な食品を過剰に食べています」と著者らは述べている。「つまり、健康に良くないものの方が美味しいと思われていること。食品を選ぶときは美味しさを基準に選ぶということ。この二つです。これまで、健康的であることと美味しさについてのこの矛盾した関係を追及した研究はほとんどありませんでした。」

研究チームは、人々が食品を選ぶとき、彼らの健康意識と食品の健康成分についての情報が与える影響を調べるために、異なる量の砂糖と脂肪が入った何種類かのヨーグルトを用意して、それを参加者に選んでもらう実験を行った。その際、参加者は、あるヨーグルトには身体に良い成分が入っていると説明された。

その結果わかったのは、人々の健康意識はヨーグルトの選択にはほとんど影響しないということだった。ヨーグルトに健康な成分が入っていると聞いても、それによってその健康的なヨーグルトを他のものよりも多く選択する傾向はみられなかった。しかも、このやり方は、最もそれを必要とするはずの人に対して、特に効果が低かったという。というのも、健康志向がぜんぜんない人々は、最初から健康に関する情報には見向きもしなかったのである。

健康意識の高い一部の消費者は、製品の健康情報によって多少は心動かされる場合もあったが、意識の低い消費者は、健康情報があろうがなかろうが、関係なく不健康なヨーグルトの方が美味しいと主張したのだった。健康意識が高い者も低い者も、最後はみな美味しいかどうかが選択の決め手になり、健康意識に訴えるだけでは効果がなかったのである。

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「政治家や官僚は、健康的な食品がもっともっと魅力あるものに感じられるようにするための新しい方法を考え出す必要があります。実際に味を良くすることも必要ですが、見た目や宣伝方法なども改善が必要でしょう。消費者の琴線に触れるようなキャンペーンによって、社会の中に健康的に食べることがおしゃれでカッコいいと思わせる雰囲気を作り出していくことも必要です」と著者らは述べている。

食品会社、消費者、政府関係者が足の引っ張り合いを止め、肥満の流行を食い止める効果的な戦略を、手を取り合って実現していくことが必要だろう、と著者らは結論している。

出典は『公共政策経済雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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