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公開日:2014-12-04

国によって大きく異なるがんの生存率

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がんの生存率を国際比較したこれまでで最大規模の研究結果が『ランセット』誌に発表された。世界人口の3分の2を含む国・地域を対象とした本研究は、がんの生存率に依然大きな国際格差が存在することを裏付けた。

10か国の研究チームが参加したこの研究は「CONCORD-2研究」と呼ばれるもので、世界67か国279のがん登録センターから1995-2009年にかけて集めたデータを用い、代表的な10種のがんにかかった2,570万人の成人がん患者と急性リンパ芽球性白血病にかかった75,000人の小児がん患者の推定5年生存率を国・地域別に比較検討したものである。

研究チームは、各国の年齢・性・人種構成による死亡率の違いを考慮しても、がんによる5年生存率には国によって極めて大きな差が存在することを発見した。特に、小児の急性リンパ芽球性白血病では、カナダ、豪州、ベルギー、ドイツ、ノルウェイが90%以上の生存率を示しているのに対して、ヨルダン、チュニジア、インドネシア、モンゴルなどでは16-50%に留まっており、現在では基本的に治療可能なこの小児がんに対する国ごとの対応の格差が浮き彫りになった。

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肝がんと肺がんは、今回検討された中で最も予後の悪いがんであり、5年生存率は先進国でも途上国でも共に20%未満であった。これはこの種のがんが手遅れになってから発見されることが多いためだと思われるが、それでも格差は存在し、中国、イスラエル、日本、韓国の5年生存率が10%を上回ってきているのに対し、コロンビアと北米大陸では10%ぎりぎりで、欧州17か国では依然10%未満と非常に悪い状態が続いている。

それに比べて、乳がんと大腸がんの5年生存率は全体的に高めであり、特に大部分の先進国と南米諸国で上昇していた。これは早期発見率の上昇と放射線治療、直腸間膜全切除など治療法の向上によるものと思われる。最も生存率が高かった国は、イスラエルとエクアドルの68%以上(結腸がん)、カタールとキプロス、アイスランドの70%以上(直腸がん)、豪州、ブラジル、カナダ、キプロス、イスラエル、日本、米国、欧州数か国の85%以上(乳がん)であった。モンゴルはこれら3種のがんの生存率が最低だった。欧州では、アイスランドの生存率が最も良く、結腸がんと直腸がんで各々66%と77%だった。またフランスとフィンランドで乳がんの生存率が最も高く87%であった。逆に欧州で最も生存率が低かったのはロシアであった。

1417671993 胃がんの5年生存率は、日本(54%)、韓国(58%)、台湾(36%)と東アジアが他の地域に比べて高かった。これは集団検診、早期診断、切除術などの治療技術の向上によるものと思われ、他の国々でもこれを学ぶことが重要であることを示唆している。欧州では、デンマーク、マルタ、ポーランド、英国が依然として低い生存率(18-19%)のままである。

子宮頸がんと卵巣がんは、特に地域ごとの5年生存率の差が目立ち、しかも全体としてあまり改善がみられていない。たとえば、モーリタス、韓国、台湾、アイスランド、ノルウェイは70%以上の生存率を示しているが、リビアでは40%未満である。欧州では、英国、フランス、アイルランドラトビア、ブルガリア、ポーランド、ロシア、スロヴァキアの子宮頸がん生存率は60%以下であり、この15年間にほとんど改善がみられないという。

「本研究が明らかにしているのは、国によっては、がんは依然として致命的な病気だということです。21世紀になって未だにこんなに格差があるのはおかしなことです。生存率の違いを生んでいる因子の大部分は診断や治療技術といった改善可能なものばかりなのですから。我々の研究は、よりよい医療システムの構築に役立つでしょう。行政担当者が政策を見直すきっかけになることを期待しています」と筆頭研究者のクラウディア・アレマーニ博士は語っている。

出典は『ランセット』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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