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公開日:2010-11-30

2010年の猛暑と季節外れの黄砂

世界の最新健康・栄養ニュース

ご承知のように今年は記録的な猛暑に見舞われ、熱中症により多くの尊い命が奪われました。国民生活へも様々な影響を及ぼしたことは記憶に新しいところです。一部の野菜は大変高騰し、米の作柄にも悪影響を与えてしまいました。10月に入っても気温30?を観測した地域があり、まさに秋の訪れが熱望された今夏でした。

10月中旬からはそれまでの気温が嘘のようにすっかり秋めいた気候になり、駆け足で冬に向かっているような感じさえします。冬は風邪の季節、加えて昨冬騒がれた新型インフルエンザ、そして季節型のインフルエンザを心配する声が再燃しています。そしてラニーニャ現象が認められた今冬は、過去の観測データから照らすと北日本を除いた地域で気温の低下が予想されます。

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1367047597 11月になると、5年ぶりにこの時期の黄砂が観測されました。黄砂は、ご存じの通り中国内陸部のゴビ砂漠や黄土高原などの砂漠地帯から表層土である黄土が舞い上がり偏西風に乗って日本まで到達したものです。

洗濯物への付着に気をつけるよう天気予報などでアナウンスされますが、化学物質で汚染された中国大陸の工業地帯の上空を通過し、その過程で硫黄酸化物、窒素酸化物、水銀ほか重金属などを吸着するので、人体への悪影響を危惧する専門家も居ます。

この黄砂現象に関して、福岡県春日市における砂じん濃度の計測で直径0.005ミリ以上の砂じん粒子が大気1リットル当たり100個以上あり、非常に高濃度の黄砂だったことが分かったそうです。例年は、中国大陸での雪解けと土壌の乾燥によって春に砂が舞い上がり、黄砂の原因となりますが、11月の黄砂は積雪の遅れから地表を覆う雪がないため砂が舞い上がることが原因の一つだそうです。

黄砂を吸い込むことで長期間咳き込んだり、アレルギー症状に悩まされる方が増えているようです。黄砂の影響を受ける国々では次のような報告があります(環境省:黄砂問題検討会報告書より抜粋)。

1.中国

医療専門家は、砂塵は人体の呼吸器系統に対して、最大の危害を与えるものであると報告している。砂塵粒子の鉱物成分のほか、砂塵の中に細菌、菌類、化学汚染物質などを含んでいる可能性がある。砂塵の中の微小粒子は肺の組織に侵入し、特に免疫力が弱い人は影響を受けやすい。流行病の調査で、空気中の砂塵の増加につれて、肺部感染、心血管疾病、心筋梗塞、高血圧及び脳卒中などが増えていることが分かった(新生網 2002 年5 月28 日付け)。

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2.韓国

1995 年-1998 年の3、4、5 月の3 ヶ月について、ソウルで観測した黄砂現象期間(現象終了後の3 日間を含む)と非黄砂現象期間のヒトの死亡率を調べた結果、65 歳以上の高齢者の死亡率が黄砂現象期間に2.2%増加し、特に心臓血管系疾患及び気管支疾患が原因の死亡率が4.1%高くなったという疫学調査報告がある(Kwon他 2002)。また、呼吸器系及び循環器系疾患の入院がそれぞれ7.8%、3.7%増加し、通院治療は眼科、循環器、上部呼吸器、下部呼吸器でそれぞれ6.2%、8.0%、13.0%、19.8%増加すると報告している(Kang 2004)。

 

3.日本

日本における黄砂による健康影響について疫学的調査報告や研究成果は今のところ見当たらない。しかし最近、肺気道炎症を誘発させたマウスの気管内に黄砂を投与し、その病理学的な影響を調べた研究成果が報告(Ichinose 他 2005)されている。発生源表層土壌から人工的に作った黄砂(バージン黄砂と呼ぶ)と、それに硫酸基を表面集積した黄砂(汚染黄砂と呼ぶ)を、5 週齢の雄マウスに隔週一定量(0.05-0.2mg)の黄砂を気管内投与した結果、バージン黄砂よりも汚染黄砂の方が肺気道炎症を増悪させる傾向にあり、その病理学的変化としては、気管支肺炎、肺胞炎及び水腫が観察された。

1367047917 今年の猛暑による身体への影響、そして黄砂とインフルエンザなどのウィルス、冬の寒さ、何れも人間の力など及ばぬ自然の猛威です。人間の資本はあくまでも健康な身体であり、これを維持することが肝要です。