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公開日:2014-07-04

1日6,000歩で変形性膝関節症を予防

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ウォーキング(歩行)によって変形性膝関節症による機能低下を抑えることができるかもしれない。米国ボストン大学の研究チームは、1日6,000歩以上のウォーキングが、変形性膝関節症とそれに伴う歩行困難など機能障害のリスクを軽減するようだ、と『関節症治療と研究 』誌に報告した。

変形性膝関節症は、膝の軟骨が減少するなどの原因で膝が変形し、痛みのために立ったり歩いたりすることが困難になる病気である。日本では、患者数700-1,000万人、潜在的な予備群は3,000万人にも及ぶといわれている。膝関節症は、高齢者の身体機能障害の主要な原因のひとつと考えられている。米国の国民健康栄養調査のデータでは、膝関節症の患者の8割が歩行障害を抱えていて、患者の11%は介護が必要な状態であることが報告されている。

1404435952 ウォーキングは、高齢者にとって日常的にもっとも手軽に実行できる身体活動であるが、膝関節症を患う患者の3分の2は、週にわずか90分しかウォーキングしていないという米国のデータがある。「患者が、もっとウォーキングをすれば、身体機能が改善するのではないか、と我々は考えました。そして、もしそうなら、一日最低どれくらいのウォーキングが、患者の機能障害を防止するために必要なのかを知りたいと考えたのです」と筆頭研究者のダニエル・ホワイト博士は説明している。

今回、研究チームは多施設共同骨関節症研究の一環として、1,788名の変形性膝関節症患者およびそのリスクの高い人々(平均年齢67歳、平均BMI31、6割が女性)を対象に、1日当たりの歩数と膝関節症の関係を調査した。万歩計によって7日間以上の歩数を記録して1日当たりの歩数を割り出し、その後2年間にわたって歩行に関する機能障害の発現の有無を追跡調査した。機能障害は、歩行速度が秒速1メートル以下になったとき、もしくはWOMACスコアが68点満点中28点以上になったときとした。WOMACスコアは膝関節・股関節の機能制限の度合いを特異的に検討する際に一般に用いられる指標である。

その結果、1日当たりの歩数が1,000歩増えるごとに、2年後までに機能障害が起きるリスクは17%低下することが明らかになったという。さらに研究チームでは、将来的に機能障害になるかどうかの目安として、6,000歩を基準に判断するのが最適であるとした。

「ウォーキングは、費用もかからず誰にでも手軽にできる身体活動ですが、一般的には1日10,000歩を達成するように指導されます。でも今回の調査で、6000歩がクリアできればそれなりに健康効果を期待できることがわかりました。我々としては、膝関節症の患者やリスクのある人々には、1日3,000歩でよいので今日からウォーキングを始め、最終的には1日6,000歩まで漸次増やすようにして、歩行困難などの身体障害のリスクを最小にしてほしい」とホワイト博士はまとめている。

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ちなみに日本の新しい身体活動指針2013では、「+10(プラス・テン)から始めよう!」をキャッチフレーズに、今より10分(約1,000歩)多くからだを動かすことを推奨している。

出典は『関節症治療と研究』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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