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2016-02-19

若いころ食物繊維をたくさん食べた女性は乳がんリスクが低い

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思春期から20代にかけて食物繊維、特に野菜と果物を豊富に摂っていた女性は、乳がんリスクが有意に低くなるかもしれない。米国ハーバード大学の研究者チームが疫学研究に基づく結果を『小児科学』誌に発表した。

p_109 食物繊維といえば、大腸がんの予防効果や最近では腸内細菌との相互作用などにも注目が集まっており、健康維持には欠かせない食品成分のひとつとして様々な効果が期待されているが、乳がんの予防効果についてははっきりしていなかった。今回研究チームは、9万人以上の女性を20年にわたって追跡調査したデータを解析し、思春期の食物繊維の摂取が乳がん予防に有効であることを証明したという。

「食物繊維の摂取が乳がん発症リスクに及ぼす影響について、これまでの研究でははっきりした結論がでていませんでした。また思春期から20代にかけての食生活を検討したものはありませんでした。しかし、この時期は乳がんのリスクが高まる重要な年代にあたります」と筆頭研究者のマリヤム・ファービドは語っている。「本研究は、若いころの栄養摂取が、若年性乳がんのリスクを左右する数少ない因子のひとつであることを示唆しています。」

今回研究チームは、全米規模の長期疫学研究である看護師健康研究IIに参加した90,534名の女性を対象に検討を行った。研究は、1991年に対象者が27-44歳で始まり、その後4年ごとに食事調査とがん罹患率が調査されて現在まで続いている。途中1998年には当時の食生活に加えて、高校時代の食生活についても思い出し調査が行われた。2011年までに2,833名の女性が乳がんの診断を受けた。

調査結果から食物繊維の摂取量と乳がん発症リスクとの関係が解析された。その際、人種や家族歴、肥満指数(BMI)、体重の経年変化、月経歴、飲酒その他食事因子など、乳がんリスクに影響を及ぼすと思われる種々の因子の影響は除かれた。

解析の結果、20代でたくさんの食物繊維を摂っていた女性の乳がんリスクは、その摂取量に応じて12-19%低くなることが明らかになった。また高校時代に多くの食物繊維を摂っていた場合も、生涯乳がんリスクと閉経前乳がんリスクが、各々16%と24%低くなることが明らかになった。食物繊維の摂取量と乳がんの発症リスクには強い負の相関関係がみられたという。すなわち、1日あたり10グラムの食物繊維の摂取(リンゴ1個、全粒小麦パン2枚など)で、乳がんリスクは13%低下した。特に果物と野菜に含まれる食物繊維の効果が高かったという。

研究チームによれば、食物繊維の豊富な食事を摂ることで乳がんリスクが抑えられるのは、部分的には血液中の高いエストロゲン(女性ホルモン)濃度が抑えられるためかもしれないという。エストロゲンは乳がんの発症に強くかかわっていると考えられているが、たくさんの食物繊維を食べることによって、エストロゲンの再吸収が抑えられるようだ。

今回の知見は、「果物や野菜、全粒穀物などの食物繊維の豊富な食事を摂ることを心がけよう」という、米国がん学会の予防ガイドラインの推奨にもかなうものであり、それらの食材に小児期から思春期にかけて充分親しむことの重要性を示すものである、と研究チームは結論づけている。

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「他の多くの研究によって、私たちは小児期から思春期にかけての乳房組織が特に発がん物質と抗がん物質の影響を受け易いことを知っています」と主任研究者のウォルター・ウィレット教授は語っている。「我々は今回、子どもたちがこの時期に何を食べたかが、将来の乳がんリスクに極めて重要な因子であるということを証明したのです。」

出典は『小児科学』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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