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2018-02-05

訓練次第で軽度障害のある高齢者の認知機能を高められる

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薬物治療に頼らずに加齢による思考力や判断力の衰えを防ぐことは、高齢化社会の大きな医療課題のひとつである。軽度認知障害(MCI)は、アルツハイマー病など認知症の初期にみられ、軽度の記憶損失や、簡単な作業がこなせないといった症状を伴い、抑うつや不安症状を示すことも多い。

カナダ・モントリオール大学の研究チームは、この世界初の研究において、認知機能訓練によって、薬物を使わずに患者のMCIを改善できることを実証した。MCIのある高齢者であっても、学習によって新しいメンタルスキルを覚え、それを使うことが可能であったという。

研究では、カナダ記憶クリニックからMCIのある72歳以上の145名が集められ、介入内容によって3群に振り分けられた。参加者は。4-5人ずつの小グループに分かれて群ごとに異なる訓練を毎週120分、8週間にわたって受けた。

3群の介入内容は以下能通りだった。

 

  • ●MEMO(認知機能訓練)群では、参加者はMEMOプログラムに参加し、記憶力と注意力を改善するための特殊な訓練を受けた。

 

  • ●心理社会訓練群では、参加者は一般的なウェルビーイングを改善するような介入を受けた。自分の人生ポジティブな面に焦点を当てることと、ポジティブな状況を増やしていく方法について学習した。

 

  • ●対照群では、参加者は研究者らに接触せず、なんの訓練も受けなかった。

 

145名中訓練を最後まで受けたのは128名であり、6か月後の追跡調査まで完了したのは104名だった。

「MEMO群参加者は、訓練終了後、記憶力検査の成績が35-40%上昇しました」と主任研究者のシルヴィ・ベルヴィル博士は語っている。「最も重要なことは、6か月後でも参加者はその成績を維持していたことです。」

訓練の効果は、「遅延再生」と呼ばれる、覚えたことを一定時間経過後に思い出す能力が低下している高齢者で、最も大きな改善がみられた。これは、いくつかの単語を記憶してもらって、10分後にそれを思い出すことによって測られる。遅延再生は、アルツハイマー病の最も初期の兆候のひとつであることから、これは意義のある発見といえる。

MEMO群参加者らは、後のインタビューで、受けた訓練を追跡期間中の日常生活における学習に用いていたと答えている。訓練には、物事を思い出させるそれまでの方法とは別の方法を教える効果があったようだ。例えば、参加者は、視覚的イメージを、新しく覚えた人の名前や買い物リストを思い出すのに用いていたという。そういう日々の学習が、8週間の介入終了後も彼らの記憶改善効果を維持する役に立ったのだろう、と研究チームは推察している。

残念ながら、心理社会訓練群には、何もしなかった対照群と同様に、記憶力を改善する効果はみられなかった。気分障害を改善する効果もなかったという。

出典は『米国老人医学会雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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