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2018-08-06

血中ビタミンDが高い人は大腸がんリスクが低い

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米国がん学会、ハーバード大学など20以上の医療機関からの国際共同研究チームが、血液中を循環するビタミンDの濃度が高いことと、大腸がんの発症リスクが低いことの間には統計的に有意な関連があるようだ、と『国立がん研究所雑誌』に発表した。

大腸がん予防に最適な血中ビタミンD濃度は、米国医学アカデミーが出しているビタミンDの推奨量よりかなり高い値であるようだ。というのも、現在の推奨値は、主として骨の健康維持だけを考えて設定されたものだからである。

ビタミンDは、骨の健康を維持する上で重要であることが知られているが、細胞の増殖を調節する機能もあることから、大腸がんリスクを低下させるのではないかと期待されている。けれども、これまでの研究では、体内のビタミンD状態を示す最適な指標である血中25-ヒドロキシビタミンDが高いことと、大腸がんリスクの低下の関係についての見解はかならずしも一致していなかった。

「これまでの研究にみられた不一致を解消し、さらに対象集団による違いを明らかにするために、私たちは17件の前向き疫学研究から、大腸がんを発症する前の参加者の個別データを解析しました」と主任研究者のひとりでハーバード大学のステファニー・スミス=ワーナー博士は述べている。

解析には、米国、欧州、アジアの各地域から5,700名の大腸がん患者と7,100名の健常者のデータが含まれていた。血中ビタミンD濃度については、可能であれば再検査すると共に、標準的な方法によって研究ごとのバラつきを補正した。「過去においては、ビタミンDは検査によってかなりのバラつきがあり、それらを単純にまとめることは困難でした」ともうひとりの主任研究者で国立がん研究所のレジーナ・G・ジーグラー博士は語っている。「この補正によるアプローチによって、私たちは血中ビタミンD濃度とがんリスクとの系統的な比較解析を国際間で実施することができました。」

データ解析の結果、骨の健康に十分な血中ビタミンD濃度をもつ対象者と比較して、ビタミンD欠乏の対象者は、平均5.5年の追跡調査中に大腸がんを発症するリスクが31%高いことが明らかになった。同様に、骨の健康に十分な濃度より高いビタミンD濃度の対象者は、大腸がんを発症するリスクが22%低かったという。ただし、過剰に血中ビタミンD濃度が高くなるとリスクの低下はみられなくなった。

このようなビタミンDのリスク低下効果は、他のリスク因子の影響を除いた後にもみられた。また検討した全ての集団において予防効果が認められたが、女性では男性よりも強い予防効果がみられた。米国では大腸がんは3番目に多いがんであり、2018年には140,250人が新たに大腸がんと診断され、50,630人が死亡している。

「現在、公衆行政当局は、大腸がん予防のためのビタミンDを推奨していません」と筆頭研究者のひとりである米国がん学会のマルジ・L・マックローは語っている。「本研究は、当局に、骨の健康のための推奨量は大腸がん予防には足りないということを認識してもらう助けになるでしょう。」

ビタミンDは食事から摂ることができる。強化食品やサプリメントも利用することができる。体内でも太陽の光を浴びることで作られるので、積極的に屋外で活動することも重要だ。ただ、過剰な紫外線が皮膚がんの主要なリスク因子であることも考慮する必要があるだろう。

出典は『国立がん研究所雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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