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2016-05-27

米国人は長生きになったが、健康度は低下している

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米国人はこの40年の間で平均寿命が飛躍的に延びたが、その半分以上が障害を抱えて生きる期間の延長であり、長生きはしても健康になったとは言い難いようだ。米国南カリフォルニア大学の研究チームが報告した。

p_115 この研究結果は、平均寿命がかならずしも健康度の指標にはならないことを意味している。ほぼすべての年代において、障害やその他健康上の問題を抱えて生きる人の割合が増加しているという。

「私たちは、質の高い人生を延ばす以上に質の悪い人生を延ばし続けているのです」と筆頭研究者のアイリーン・クリミンス教授は語っている。「現在ベビーブーマー世代(1946-1959年生まれ)の高齢化が進行中ですが、彼らが上の世代に比べてより健康になっているとはとてもいえません。病気や障害の期間が短くなっているのは65歳より上の世代だけです。」

この発見は、退職年齢の引き上げや保険などの社会保障の充実といった保健福祉行政を立案する上で重要な意味合いをもつものだといえる。

「明白なことは、若い時からの健康の維持と障害の減少が、全ての年齢層において病気と障害の期間を短縮するためには必要だということです」とクリミンス教授は言う。「この40年間の傾向を見れば、社会福祉政策がいわゆる健康寿命を延ばす方向には進んでいないことがわかります。」

研究チームは、米国人口統計表による各年代別の平均寿命と国民健康聞き取り調査などのデータから1970~2010年における障害を抱えて生きる期間及び健康寿命の推定を行った。

解析の結果、1970年から2010年の間に、男性の平均寿命は9.2年と大きく延びて76.2歳になったことが明らかになった。しかし、その内訳は、障害を持って生きる期間がほぼ半分の4.7年を占めていた。

女性の平均寿命は6.4年延びて81歳になったが、障害を持って生きる期間が3.6年と、健康に生きられる2.7年を大幅に上回っていた。障害なしに健康に生きられる年月の延びが障害を持って生きる年月よりも長くなっていたのは、65歳以上の男女だけだった。

障害が起こる原因は世代によって異なり、若い世代では精神疾患の大幅な増加、自閉症スペクトラム症候群や注意欠陥多動障害(ADHD)の診断率の上昇、薬物依存症の上昇などが目立ったという。

「健康に生きられる寿命の延びが女性でこんなにも少ないのは驚きです。これは要するに、米国人女性は、男性に比べると、この数十年間に健康があまり改善されなかったということです」とクリミンス教授は語っている。

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日本では、日常生活の自立が困難な期間は、男性9.13年、女性12.68年である(平成22年厚生労働省)。障害を抱えて生きる期間をいかに短縮し健康寿命を延ばせるかは、我が国でも重要な課題のひとつである。

出典は『米国公衆衛生雑誌』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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