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2014-07-24

環境有害物質の知識がない産婦人科医が多い

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妊婦に対して環境有害物質のことをかならず話すと答えた産婦人科医は2割に満たない、という米国カリフォルニア大学の調査結果が、科学誌『プロスワン』に発表された。

研究チームは、全米の産婦人科医2,500名を対象に、妊産婦に対して環境中の有害物質への曝露をどのように指導しているかを調査した。これは全国規模で実施された初めての調査であるが、80%近くの産婦人科医が、妊婦が有害物質に曝されるのを防ぐために医師の手助けが重要であることを認識していたものの、実際に妊婦と積極的に話し合う時間を取っていると答えた産婦人科医はわずかだった。

いつも環境有害物質への妊婦の曝露について妊婦と話し合うようにしていると答えたのは20%未満であり、環境有害物質には蓄積性のあるものが多いため妊婦や胎児には特に有害であるといった事実について専門的な講習を受けたことのある医師は15人に1人に過ぎなかったという。

調査された医師からは、不十分なあるいはうろ覚えの知識しかないために、自信をもって妊婦にどうすべきかを指導することができないという声も多数聞かれた。また、妊婦はもっと切迫した健康問題、たとえば日々の食事をどうするか、座ってばかりでよいのか、太り過ぎをどうするか、糖尿病になったらどうするか、というようなすぐに解決しなければいけない事柄を抱えていて、環境有害物質まで手が回らないと言う医師もいた。

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調査の一環として医師らの意見を自由に話し合ってもらったところ、家庭でも職場でも、周囲にいくらでも存在する種々の化学物質について、妊婦は必要以上に神経質になっていることが多いと感じている医師が多いことも明らかになった。あまりにも多すぎていまさら避けることは不可能なのだから、気にしすぎるのはかえってよくないというのである。

環境問題が、簡単に私たちの手に負えるような問題でないのは確かだとしても、それでも医師が妊婦にできることはたくさんあるはずだ、と研究チームは指摘している。高価な有機野菜を買うだけが解決策のすべてというわけではないのだ。

1406095580 「環境有害物質の多くは避けようがありません」と筆頭研究者でカリフォルニア大学サンフランシスコ校准教授のナオミ・ストットランド医師は語っている。「けれども、私たちは、妊娠中の女性に対して特に危険性の高い環境汚染物質についての知識と、とりわけそれらへの曝露を可能な限り減らすための実践的な方法を指導することができます。」

医師が適切な訓練を受けるか、良質のガイドラインが存在していれば、もっと率先して患者に有害物質を避けるように指導することができるはずだ、とストットランド医師はいう。先行研究では、女性たちは自分たちが曝されている環境化学物質の有害作用についてもっと知りたがっており、情報に対して前向きに対処することが示されている。

「私たちは、妊婦が実際に環境有害物質に曝露しており、そのために子どもたちにも悪影響がでていることを証明する多くの研究結果をもっています」と主任研究者のトレイシー・ウッドラフ博士は語っている。「けれども、医師はそうした情報を患者に与えていないのです。」

昨年、女性の健康に関する2つの専門団体(米国産婦人科学会と米国周産期医療学会)が共同で「毒性環境化学物質への曝露に関する委員会声明」を発表して、環境有害物質が女性に与える危険性を訴えたところではあるが、現実には、製薬会社が医薬品を売り出す前に入念なチェックが必要なのに比べて、化学物質にはそのような法的規制は存在せず、妊婦や乳幼児への影響を事前にチェックしているところはほとんどないという。

「本当の救済策は、医師の知識と患者のカウンセリングをはるかに超えたところに存在するのです」と共同研究者で米国産婦人科学会の前会長のジェアンヌ・コンリー博士は語っている。「私たちは、もっとも危険な化学物質がどこに使われているのか、どのようにそれらに曝露しているのか、それがどのくらい健康に影響を及ぼすのかほとんど知りません。私たちは保健医療の専門家として、化学物質の安全性と毒性影響を製造会社が明確にするよう義務付けることを、政府に提言していく必要があります。」

出典は『プロスワン』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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