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2018-05-28

活発な運動で心臓病の遺伝リスクは抑えられる

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身体活動は、心臓を健康に保つための最良の方法であり、それは遺伝的に心臓病のリスクが高い人々にも当てはまるようだ、という米国スタンフォード大学の研究結果が『循環器』誌に発表された。

研究チームは、英国バイオバンクのデータベースからおよそ50万人のデータを解析した結果、握力が強いこと、運動量が多いこと、そして心肺フィットネスが高いことのいずれもが、心筋梗塞や脳卒中のリスク低下に関連していることを発見した。それは遺伝的に心臓病のリスクが高い人々にもみられたという。

英国バイオバンク研究の参加者は、イングランド、スコットランド、ウェールズで集められ、研究開始時に種々の疾患に対する遺伝的リスクを評価されることに同意している。今回、研究チームは、研究開始時に心臓病の兆候のなかった40-69歳の482,702名のデータを使用した。半数以上が女性の参加者だった。

参加者の身体活動については、国際身体活動質問票を用いて自己申告してもらうと同時に、腕時計型加速度計による活動量の測定、握力計、亜最大運動負荷試験による実測も行った。さらに、468,095名の全ゲノム遺伝子解析が実施された。

研究の追跡期間中に、心筋梗塞、脳卒中、心房細動、心不全などの心血管系事象は20,914件記録された。解析に際しては、年齢、性別、人種、地域差、経済状態、糖尿病の有無、喫煙の有無、血圧、BMI、脂質関連薬の使用の有無について調整され、その影響が除かれた。

データ解析の結果、心血管系疾患の中程度の遺伝的リスクがある人々の場合、最も握力が強かったグループは、最も握力が弱かったグループに比べて冠動脈疾患の発症リスクが36%低いことが明らかになった。同様に、心房細動の発症リスクが46%低かったという。

さらに、心血管系疾患の高い遺伝的リスクがある人々の場合には、高い心肺フィットネスレベルをもつグループは、低い心肺フィットネスレベルのグループに比べて、冠動脈疾患の発症リスクが49%低かった。同様に、心房細動の発症リスクは60%低かった。

「本研究の重要なメッセージは、たとえ遺伝的リスクが高い者であっても、活発に運動することで心臓病のリスクは下げられる、ということです」と筆頭研究者のエリク・インゲルソン教授は語っている。

ただし、この研究にはいくつかの限界もあるという。まず、研究参加者が具体的にどのような運動をしたか、それをどれくらいしたかは記録されておらず、また観察研究なので堅牢な因果関係を立証することはできない、とインゲルソン教授は指摘している。観察研究でわかるのは、そういう傾向があるということだけである。

とはいえ、大規模なデータを用いており、新たなガイドライン策定のために考慮される価値がある結果だと教授は言う。「一般の方は、運動計画について医師に相談するのが一番よいでしょう」とインゲルソン教授は語っている。

なお、インゲルソン教授によれば、先行研究では、運動と心臓の健康状態に関連のあることは明らかにされているが、家族に心臓病患者がいる人々についてはよくわかっていなかったという。そこで本研究は、運動と心血管系事象のリスクの関連を調べると同時に、遺伝的なリスクの影響も調べるようにデザインされたということである。

出典は『循環器』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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