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2018-03-19

四つ以上の病気を抱える高齢者が、2035年までに倍増する

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今後20年間で、四つ以上の病気を併せもつ高齢者の数は倍増し、その3分の1の人には、精神障害がみられるようだ、という研究結果が発表された。

英国ニューカッスル大学加齢研究所のキャロル・ジャガー教授らの研究チームは、英国人全体の1%にあたる35歳以上の303,589人のデータを元に、「集団の加齢とケアのシミュレーション(PACSim)」モデルという推計法を用いて、2015年を起点に、10年後(2025年)と20年後(2035年)における年齢別・病気別の患者数を推定した。

シミュレーションの結果、2015年から2035年にかけて、複数の病気を抱え持つ、いわゆる「多疾患罹患」の高齢者数が増加し続けることが明らかになった。四つ以上の病気を併せ持つ、著者らが「複合多疾患罹患」と名付けた65歳以上の高齢者の数は、2015年の9.8%から2035年の17.0%へと倍増する。85歳以上に限定すると、2015年の14.9%から2035年の39.7%へと、3倍近くも増えるという。

これら四つ以上の病気をもつ患者の3分の2には、精神的な障害(認知症、うつ病、認知機能障害)が含まれている。

今後20年間で平均寿命はさらに延びる(男性で3.6年、女性で2.9年)が、複数の病気を抱えたまま生きる人もまた増えるため、そのうちの3分の2以上の期間(男性2.4年、女性2.5年)を、四つ以上の疾患と共に暮らさなければならないという。

高齢者(65歳以上)の患者数が最も増加すると思われる病気は、がん(179.4%の増加)であり、次いで糖尿病(118.1%)、呼吸器疾患(101.5%)、関節炎(91.6%)が続く。冠動脈疾患(22.1%)、うつ病(-15.1%)、認知機能障害(25.6%)の増加はあまりないようだ。罹患率の増加が最も大きいのは、関節炎(14ポイント)で次いでがん(11.1ポイント)である。85歳以上に限定すると、認知症とうつ病を除くすべての病気で、2015年から2035年にかけての患者数は2倍以上に増加すると予想される。

「四つ以上の病気を抱えた高齢者、私たちが複合多疾患罹患と名付けた患者数の増加は、主として、85歳以上人口の急激な増加によるものですが、もっと心配なのは、65-74歳の若年高齢者においても、二つあるいは三つ以上の病気を抱えた患者さんが過去に比べて増加するということです。これは、肥満と運動不足という複数の疾患のリスク因子を持つ人が若い世代に多数存在するためです」とジャガー教授は語っている。

「今回の知見は、将来的な国の医療体制やリソースを考える上で、非常に大きな意味を持っています。多疾患罹患は、入院患者を増やし、入院期間も延ばします。再入院の回数も増え、これらが医療体制の崩壊の危機をまねくのです。」

研究チームは、複合多疾患罹患の患者には、異なるアプローチ法が必要だと述べている。単一の病気に焦点を絞った医療モデルは、多疾患罹患の患者には不適切であり、疾患予防により焦点をあてることや、多疾患罹患のための個別の医療サービスの提供などが必要とされるだろう。

出典は『年齢と加齢』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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