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2014-01-15

ビタミンの臨床研究には重大な欠点がある

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ビタミン・サプリメントの効果を検証した多くの大規模臨床試験は、効果なしあるいは有害かもしれないとするものも含めて、研究方法に重大な欠点があり、ビタミンの真の効果を見誤っている可能性が高い、という米国オレゴン州立大学の研究結果が医学誌『栄養素』に発表された。

毎日の食事に含まれるビタミンであっても、人間に対する効果の検証は、基本的に医薬品と同様の臨床試験によって行われている。医薬品の場合には、事前に体内に存在することはないので、プラセボ(偽薬)を対照としてきちんと有効成分のあるなしで効力の比較を行うことができる。また対象者は病人である。

しかし、誰もが毎日の食事から摂取している栄養素の場合は医薬品のようなわけにはいかない。元から体内に一定量存在するので、人によってはさらにサプリメントの形で摂取しても、はっきりした効果はみられないかもしれない。しかも試験の対象者は通常充分に健康な人々であることが多い。これが、ビタミンの過小評価につながり、しばしば他の研究で示された効果を否定することになっているのではないか、と主任研究者でオレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所長のバルツ・フレイ教授は語っている。

1389762084 このような疑わしい研究結果を修正するためには、ビタミンなどの栄養素に対する研究方法を根本から見直す必要がある、と教授は主張している。試験開始前に対象者の栄養状態を正確に測定し、明らかに栄養素が不足している者だけを対象にするべきだという。栄養検査は、血液を採取するなどして生体指標を正確に知りうる方法でなければならない。また実際にサプリメントが体内で有効に作用していることを同様に血液検査などで検証すべきだ。

そうすることで、より科学的に適正な情報を、世界中の多くの栄養の足りない、それゆえサプリメントの利益を最も受けられるはずの消費者に提供することができるだろうというのである。

「誰の目にも明らかな問題のひとつは、ビタミンに関する世界最大級の臨床試験の多くが、医師や看護師などの教育程度が高く健康な食生活や身体活動に関する正確な知識を一般の人々よりもはるかに良く知っている集団を対象にしていることです」とビタミンCおよび抗酸化物質に関する国際的な権威でもあるフレイ教授は語っている。

「ビタミンあるいはミネラルのサプリメントやそれらが豊富に含まれる食事がもっとも効果をもたらすのは、それまでの食生活でそれらが足りていない人々です。ところが、臨床研究の多くでは、対象者の事前の栄養状態を正確に測定していません。またサプリメントによって不十分な状態が本当に解消されたかを調べません。そのために、そういった臨床試験から信頼性が失われる場合もあるのです」と研究チームは述べている。

「90%以上の米国人成人が、充分なビタミンDとビタミンEを摂取していません」とフレイ教授は語る。「40%以上は、ビタミンCも足りていません。さらに半数で、ビタミンA、カルシウムそしてマグネシウムが足りてない。喫煙者、高齢者、肥満者、病気の人、怪我人などは、しばしばより多くのビタミンとミネラルを必要とします。」

その一方で基礎実験にもさまざまな問題があることを研究チームはビタミンCを例に述べている。

「培養細胞を用いた実験は、通常高い酸素濃度で行われますが、この条件下ではビタミンCは極めて不安定で、時として細胞に傷害的に働くのです」と研究の筆頭研究者であるアレクサンダー・ミッチェルスは語っている。「また、世界中で使われているほとんどすべての実験動物は、自らの体内でビタミンCを合成します。食事によって補う必要はないのです。その事実が動物実験を用いたビタミンCの研究を単純に人間に適用することを困難にしているのです。」

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しかし、以上のように効果をかなり低目に見積もり勝ちな多くの条件にもかかわらず、ビタミン・サプリメントに関する世界最大規模の臨床試験は、50歳以上の男性医師において、がんや白内障のリスクが減少することを示唆しているという。この効果は、すべての米国人がビタミン・サプリメントを摂取したと仮定すると1年に13万人以上が助かる計算になる、とフレイ教授は語っている。

この分野の研究者の多くが、実験対象によってビタミンの作用機序が人間とはかなり異なることをよく理解していない可能性があるが、人間の健康増進を目的としたビタミンの役割を明らかにするためには、それを知ることが重要だろう、と教授らはコメントしている。

出典は『栄養素』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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