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2015-11-10

ストレスの強い職業に高い脳卒中の発症リスク

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仕事に関係した強いストレスは脳卒中のリスクを高めるようだ、という中国の研究チームによるメタ分析の結果が『神経学』誌に発表された。メタ分析とは過去に発表された複数の研究データから統合されたひとつの見解を得る疫学手法のひとつである。

「職業的な強いストレスは心臓病のリスクを高めますが、脳卒中のリスクについてはハッキリしていませんでした」と中国・広州市にある南方医科大学の許頂立医師は語っている。「でも、強いストレスのかかる仕事が、暴飲暴食や喫煙、運動不足といった健康的でない行動を増やすことはいかにもありそうです。」これらの不健康な行動は、全て脳卒中の発症リスクを高めることが知られている。

研究チームは職業を、個人がどれくらい自由にコントロールできるか(裁量度)と、どれくらいハードか、つまり仕事における、時間的なプレッシャー、精神的圧迫感、ノルマの多さといった心理的な要請の強さ(要請度)に基づいて次の4つに分類した。肉体労働や労働時間の長さといった身体的なストレスは考慮しなかった。

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(1)受動的な仕事は、要請度が低く、裁量度も低い。例えば、アパート管理人や炭鉱労働者などの肉体労働者。

(2)低ストレスの仕事は、要請度が低く、裁量度が高い。例えば、自然科学者や建築家。

(3)高ストレスの仕事は、要請度が高く、裁量度は低い。例えば看護師やウェイトレスなどのサービス業者。

(4)能動的な仕事は、要請度が高く、裁量度も高い。例えば、医師、教師、技術者。

次に研究チームは、仕事上のストレスと脳卒中の関連について調べた研究を検索し、約14万人を3-17年追跡調査したデータを含む6件の報告を発見した。6件の研究の参加者の中で高ストレスの仕事の割合は11%から27%の範囲だった。

illust_104 この6件の研究をメタ分析した結果、高ストレスの就労者は、低ストレスの就労者に比べて、脳卒中を発症するリスクが22%高いことが明らかになった。女性だけに限ると、リスクは33%に高まった。また高ストレスの者は低ストレスの者に比べて、虚血性脳卒中のリスクが58%高いことも明らかになった。虚血性脳卒中は、血管が詰まって脳の一部に血液が送られなくなるタイプの最も一般的な脳卒中である。受動的な仕事や能動的な仕事の就労者の脳卒中リスクは低ストレスの者と同じだったという。

研究チームの計算によれば、脳卒中リスクの4.4%が高ストレスの職業に直接起因するものであり、女性の場合は6.5%に上昇するということである。

関連エディトリアルの中で米国ユタ大学のジェニファー・マジェルシーク医師は次のように述べている。「本研究の結果に基づくなら、決定権の脱中央集権化などによって個人の裁量度を高め、在宅勤務の導入など就業構造のフレキシビリティを高めることで、脳卒中リスクが低下するかどうかを検証することは意味のあることだろう。そのような変更が有効であれば、公衆衛生的なインパクトは計り知れない。」

なお、許医師は、本研究がある時点での断面的な職業ストレスを調査したものであり、血圧や血清コレステロール値など脳卒中リスクを高める他の要因の影響が考慮されていない、などの限界をもっていることを附記している。

出典は『神経学』

監修・執筆 和気奈津彦(わけ なつひこ、薬学博士)
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